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2015年には充電の概念が変わる――ワイヤレス充電規格「Qi」の展望と課題:ドコモは「現在評価中」(2/2 ページ)
ケータイを置くだけで充電ができる――そんなワイヤレス充電の技術開発が着々と進められている。ワイヤレス充電はどのような技術で成り立ち、どんな課題があるのか。WPC(ワイヤレスパワーコンソーシアム)、三洋電機、NTTドコモが説明した。
受信感度やアンテナへの干渉を検証中――NTTドコモ
ケータイキャリアの中でいち早くワイヤレス充電の取り組みを進めているのがNTTドコモだ。同社はWPCには未加入だが、CEATEC JAPAN 2010にはWPC準拠の三洋電機製バッテリーに対応した試作機を展示するなど、ワイヤレス充電の採用には積極的な姿勢を見せている。
NTTドコモ 移動機開発部 技術推進担当 課長の金井康通氏はワイヤレス充電のメリットについて、置くだけで充電できる利便性に加え、コネクタカバーを開けずに充電できるので、カバーの耐久性や防水性能が向上すること、コネクタカバーが不要になれば薄型化にも貢献することなどを挙げた。
ただしワイヤレス充電をケータイで使う際には問題点もある。ワイヤレス充電では金属製のコイルを用いるので、電波の受信感度が劣化したり、ケータイのアンテナ(FeliCa、ワンセグ、GPS、Bluetoothなど)と干渉したりする恐れがある。さらに、磁気方位センサーや開閉センサー(ホール素子)への影響も懸念される。ドコモがWPC加入に踏み切れないのも、これらの課題が完全に解消されていないためだが、受信感度やアンテナへの影響は問題ないレベルを達成できる見込み。「現在、ワイヤレス充電を使いながらケータイとしても問題なく使えるかは調査中」(金井氏)とのことで、同社の検証結果が待たれる。
ドコモは2005年からワイヤレス充電端末の取り組みを進め、受信感度(2GHz帯、800MHz帯、1.7GHz帯)、アンテナやセンサーへの干渉を調査してきた(写真=左)。「アンテナへの干渉は、コイルの配置を考慮すれば問題ないレベル」との結論が出ている(写真=右)
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