HEMSを首都圏マンションに標準装備する理由エネルギー管理

東急不動産は2012年7月、同社の分譲マンション「BRANZ(ブランズ)」シリーズにHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)を標準装備する方針を打ち出した。2013年3月に販売を始め、既に完売した「ブランズ四番町」(千代田区四番町、165戸)を皮切りに、首都圏の物件でファミリーネット・ジャパンのHEMS「me-eco(ミエコ)」の標準導入を進めている。同社がマンションにHEMSを標準装備することを決めた理由や今後の展望を聞いた。

» 2013年10月28日 10時00分 公開
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 東急不動産がマンションにHEMSを取り入れたのは、2011年ごろのことだ。当時はまだ、HEMSという名称では呼ばれず、「見える化」あるいは「可視化」という言葉が使われていた。

 京都議定書(1997年に採択)以降、官公庁や民間企業で「地球温暖化対策」「CO2削減」「エコ」への意識が高まる中、CSR(企業の社会的責任)の観点で他社に先駆けて導入を決めたという。

 「1990年当時の物件と比べて、建物の断熱性能や設備の効率化などで、CO2をどの程度削減できるのか、数値化して表示することもその前から行っていた。省エネは以前から常に住宅に課せられた命題であり、ハード面の省エネだけではなく、『見える化』に誘導される省エネ行動に一定の効果があるということで導入した。消費電力量などが『見えるだけ』という単純なもので、現在のHEMSのように、家庭内の機器の制御や、ピーク電力時の警報などの機能はなかった」(東急不動産住宅事業本部商品計画第一部BRANZ企画グループ担当部長の柘植孝行氏)。

東急不動産住宅事業本部商品計画第一部BRANZ企画グループ担当部長の柘植孝行氏

 潮目が変わったのは東日本大震災以降。従前は省エネの取り組みといえば、企業側の発信にユーザーが乗る形が主流だったが、ユーザー側からの需要が生まれた。「電気料金が値上がりする中で、家庭の電気を無駄なく効率的に使うニーズが増え、震災直後の計画停電などの経験から、電力需給が逼迫(ひっぱく)したときに家庭でもできる対策を求める方が増えた」(東急不動産住宅事業本部商品計画第一部BRANZ企画グループ課長補佐の日向野貴史氏)。こうした変化を受けて、同社はBRANZへのHEMSの標準装備を決める。

ブランズ四番町

 2012年12月に施行された低炭素住宅認定制度では、節水機器の設置や定置型蓄電池の設置などと並んで、HEMSまたはBEMS(ビル・エネルギー・マネジメント・システム)の設置が8つの認定項目の1つに入っている。一次エネルギー消費量を改正省エネルギー基準に対して10%程度削減したうえで、低炭素に資する措置として8項目中2項目以上を採用していれば、認定を受けることができ、税制の優遇などが受けられる。「HEMSは積極的に使うことによって、より大きな効果が期待できるもの。太陽光発電や蓄電池など、エネルギーに関するさまざまなアイテムを多数取りそろえる中で、その中心にあって全てをつなげる存在となりうるものであり、今後も着実に導入していく」(柘植氏)。

東急不動産の独自の「グループ連携サービス」も検討

 HEMSと呼ばれるようになった現在のシステムは、機能もかつてより格段に充実している。例えば、得られた電力や水道の計測データを活用し、高齢者世帯の電気機器の稼働状況などを離れて暮らす子ども世帯に届ける見守りサービスも用意している。このような機能を東急不動産は積極的に導入していく予定だ。(※me-ecoでは2014年4月よりサービス利用可能)

 同じマンションの世帯間で省エネ度をランキングで表示する機能も備えており、省エネ行動のモチベーション向上に一役買っている。東急不動産ではさらに、省エネの実績に応じたポイントの付与などにより、グループ会社のサービスや商品を利用できるといったシステムの導入も検討するという。

ファミリーネット・ジャパンのHEMS「me-eco」

 「グループ会社とのサービス連携はあくまで検討の一例だが、単に省エネに役立ててもらうにとどまらず、将来はHEMSをプラットフォームに、販売後のサービス提供や情報発信を行うなど、顧客の利便性を高めるのに活用したい」(日向野氏)。国内の不動産市場は少子高齢化などにより、今後、高い成長が期待できないと考えられている。住宅と生活の質を高める商品やサービスの需要を捉えやすい枠組みを構築する意味でも、デベロッパーにとってHEMSは今後、ますます重要度の高いアイテムになりそうだ。

東急不動産住宅事業本部商品計画第一部BRANZ企画グループ課長補佐の日向野貴史氏

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提供:株式会社ファミリーネット・ジャパン
アイティメディア営業企画/制作:スマートジャパン 編集部/掲載内容有効期限:2013年11月27日

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