コストアップの時代に何を捨て何を残すか、耐震性と省エネに対する要望が強いエネルギー管理

顧客満足度を高めるために、10の設備を導入したい。しかし、コストアップを吸収できない。そこで、顧客の要求を最も満たす3の設備を導入する。これはごく普通の考え方だ。しかし、企画から入居までに時間がかかるマンションで実行するのはかなり難しいという。どうすればよいのか。東京を中心にマンションを開発・販売するジョイント・コーポレーションの担当者に聞いた。

» 2013年11月05日 10時00分 公開
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 ジョイント・コーポレーションは東京を中心に事業を展開する中堅デベロッパーだ。相場を逸脱しない普及価格帯のマンションを供給している。普及価格帯は層が厚く、それだけ競争が激しい市場であるため、顧客の要望をつかみ、それに合うものを供給することを第一に置く方針だという。だが、顧客の要望を満たすことが難しくなってきた。

 「リーマンショック後、建築費が下がりきっていた時点では、顧客の望む付帯設備を例えば10付けたとしても価格に反映しなくて済んだ。今は違う。昨年と今年を比較しても建築費の急騰により、同じ仕様のマンションだと5〜10%高く売らざるを得ない。しかし、これでは顧客が付いてこない」(ジョイント・コーポレーション 不動産事業本部事業推進部 事業推進グループ次長檀上修一氏)。

 建築費が急騰したのは3・11以降の公共工事の増加による。今後は東京オリンピックも控えており、この傾向は止まりそうにない。部屋の面積などを調整したとしても顧客の要望を完全に満たす企画を立てることはできない。10の付帯設備を例えば3に収める必要があるのだという。

ジョイント・コーポレーション 不動産事業本部事業推進部 事業推進グループ次長檀上修一氏

顧客が望むのは耐震性と省エネ

 「各種のアンケート調査によれば、3・11以前と以降では顧客のニーズが大きく変わった。現在はまず耐震性、次に省エネだ」(檀上氏)。

 省エネを実現するにはさまざまな取り組みがある。同社は窓ガラスに複層ガラスを採用し、省エネルギー等級4を実現している。能動的な省エネ策も採った。「2014年〜2015年に都内で完成する2カ所のマンションで、MEMS(マンション・エネルギー・マネジメント・システム)、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)を初めて採用した。単なる見える化ではない可能性を感じたからだ」「見える化だけであれば、インターホンやリモコンで数値を表示する製品も選択可能だった。見えるだけではなく、電力の月間管理ができ、エアコンや照明を外出中に操作できる機能を顧客が望んでいると考えて、比較的高度なエネルギーマネジメントシステムを採用した」(同氏)。

(仮称)アデニウム本所プロジェクト

 ただし、HEMSありきで選択したのではないという。まずは顧客のニーズが変化したことが一番重要だ。次に政府の補助金によって支援が受けられ、コストアップ幅を小さくすることができたことだ。加えてHEMSの設置に向く企画・建設中のマンションがあったことだ。

 「エリアごとの顧客のニーズは大きく異なる。例えコストアップがなかったとしても二重床のような設備を不要だと回答する顧客が8割に達するエリアもある。ファミリー需要が高いエリアだとコスト意識がとても強い。HEMSを導入するのにも適したエリアがあるということだ」(同氏)。今回は(仮称)アデニウム本所プロジェクトと都内のもう1カ所で採用する計画だ。

 「マンションは企画から完成、入居までの時間が長い。ある程度先読みも必要だ。顧客の要望は(経済情勢などにより)比較的短い期間で変化する可能性がある。常に顧客の要望を調べていく必要がある」(ジョイント・コーポレーション 不動産事業本部事業推進部 建築グループ課長高橋忍氏)

 「個人的には、機械モノはいつか壊れるというイメージが強い。本来は建具を工夫したり、換気を自然に取り入れるようにしたりする。これを効率良くしたいと考えている。しかし、法律上の制限などがあり、機械に頼らざるを得ない。そのなかで今回HEMSが省エネのきっかけになればと考えている。省エネは最終的には使っているユーザーの意識の問題であり、何も行動しない省エネは無理。それならば見える化が役立つと考えた」(高橋氏)。

ジョイント・コーポレーション 不動産事業本部事業推進部 建築グループ課長高橋忍氏

数年後の住み方を見据えて、HEMSを導入する

 HEMSを導入する理由は他にもある。「HEMSを見て、持ち込んだ古い冷蔵庫の消費電力が分かる。家電の販売店で最新機種の消費電力を見れば、電気料金がどの程度無駄になっているのか、改善の余地があるのかどうかが分かる」(檀上氏)。

 入居後、比較的時間が経過してから役立つ用途もあるという。入居時には不要だと考えていた設備が後々必要になってくることは多い。これに備えたマンション作りが求められるのだという。「食洗機を標準導入していなくても、設置できるように配管は入れておく。(数十年後のために)手すりが付けられるよう下地を工夫しておくといった取り組みだ」(同氏)。次第に通信対応の家電の比率が高まっていくだろう。特に家電に通信機能を持たせるECHONET Lite対応家電普及への期待は大きい。ECHONET Lite規格に対応したHEMSを導入しておくことで数年後に、家電の遠隔コントロールなど、その利便性を取り入れた生活への移行も無理なくできるようになる。これは配管や手すりを用意しておくのと同じことなのだという。

ファミリーネット・ジャパンが提供するHEMS「me-eco(ミエコ)」

 ジョイント・コーポレーションが導入したHEMS「me-eco(ミエコ)」の画面。(仮称)アデニウム本所プロジェクトでは、管理組合の掲示物などを留めるコルクボードの代わりとなる「スマート掲示板」上でもme-ecoの画面を閲覧でき、共有部の消費電力を確認できる。それに加え、全戸にタブレット端末を配布することで、HEMSをより日常生活に浸透させていく狙いだという。

スマート掲示板

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提供:株式会社ファミリーネット・ジャパン
アイティメディア営業企画/制作:スマートジャパン 編集部/掲載内容有効期限:2013年12月4日

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