太陽光発電のコスト低減に決定打、DC1500Vで集中型のように使える分散型パワコン

メガソーラーの発電コスト低減に向けて、Sungrow Japan(サングロウ・ジャパン)から新発想のパワーコンディショナーが発表された。「DC1500V+分散型+集中設置」という、これまで日本では見られなかったソリューションだ。趙天工代表取締役に、その意義と展望を聞いた。

» 2018年03月12日 10時00分 公開
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 日本国内の太陽光発電に入札制度が導入され、まもなく1年。入札対象となる大規模案件(2MW以上のメガソーラー)においては、これまで以上に、大幅なコスト低減が求められている。大規模太陽光発電事業に参入するためには、発電コストを抑えて、より安い売電価格を提示し、この入札に勝ち残らなければならないからだ。

 そうした中、大規模太陽光発電システムの設計トレンドが、1000V仕様から1500V仕様へと変わりつつある。メガソーラー内部で電気を流す直流回路の電圧を、より高電圧な1500Vにすることで、システム全体の効率を向上させ、投資コストの低減を図ろうとするものだ。高電圧化の効果は大規模システムであるほど大きく、メガソーラーを軸に投資コストの低減を急速に進めてきた北米・中東・インドなどでは、既に1500Vシステムが主流となっている。

 日本でも入札案件を中心に普及しはじめた1500Vシステムだが、これを実現するためにはすべての設備機器を1500V仕様にしなければならず、日本の風土・設置環境にふさわしい機器を選定することは容易ではなかった。特にシステムの要となるパワーコンディショナーに関しては、対応機器自体が少なく、妥協を強いられることも少なくなかった。

分散型と集中型のメリットを融合した新型パワコン

 こうした状況にあって、Sungrow Japan(サングロウ・ジャパン)がこのほど発表したパワーコンディショナー「SG111HV」のインパクトは大きい。DC1500V仕様であるだけでなく、“分散型パワコン”と“集中型パワコン”の両方のメリットを併せ持つソリューションとなっているからだ。

Sungrow Japanの「SG111HV」
Sungrow Japan 代表取締役 趙天工氏

 「日本国内にメガソーラーの適地が少なくなり、これからは山地やゴルフ場跡地など、平たんではない土地に建設するケースが増えてきます。山奥や起伏のある土地には、大きな“集中型パワコン”を搬入・設置することは困難です。こうした土地では、軽量で場所をとらない“分散型パワコン”を複数台設置するほうが現実的でしょう。とはいえ、イニシャルコストは集中型の方が安いので、どちらにしようか悩んでいる方は多くいる。そこで、分散型も集中型も生産している弊社として、両方のメリットを併せ持つパワコンを作れないかと考え製品開発したのが、この製品なのです。SG111HVは、1500Vの分散型パワコンです。しかし、ただの分散型ではありません。分散型のデメリットを解消し、集中型と同じメリットをも感じていただける、まったく新しいタイプのパワコンです。弊社では、これを“バーチャル集中型パワコン”とも呼んでいます」

 Sungrow Japan(以下、サングロウ)の代表取締役・趙天工氏は、こう語る。SG111HVは、「分散型と集中型の良いとこ取り」をした製品というわけだ。設置場所が限られ、コスト制約も大きいこれからの日本のメガソーラーには、まさにうってつけのパワコンになるだろう。

コスト削減、発電量アップ、O&Mも楽々

 SG111HVは、従来の分散型のように、それぞれのパワコンを発電所各部に分散して設置するのではなく、複数台を1カ所に集めて設置することができる。一定のストリング単位で制御する小型の分散型パワコンでありながら、1台で発電所全体を制御する大型の集中型パワコンのように1ヶ所でオペレーションすることが可能なのだ。これが“バーチャル集中型パワコン”と称される理由でもある。

 趙氏は、そのメリットを次のように話す。「SG111HVの集中設置により、交流ケーブルの費用が大幅に削減されるので、イニシャルコストも低減します。従来の分散設置方式では、遠くにあるたくさんのパワコンから、それぞれに交流ケーブルをひいてくる必要がありました。2MWクラスのメガソーラーなら、その長さは5kmにも及びます。しかし、弊社の集中設置方式の場合、接続箱で一定数をまとめた上で、パワコン設置場所までは直流ケーブルで引いてくることになります。ケーブルの総延長は短くて済みますし、工事費も抑えられます。そもそも交流ケーブルより直流ケーブルの方が割安ですから、その効果は相当なものなのです」

 さらに、この集中設置方式は、発電所の運用保守(O&M)費用の削減にも直結する。「通常点検はもちろん、万一パワコンにトラブルが生じても、作業員が広大な発電所内を長距離移動することなく、1カ所で効率よく対処することができます。そのうえ、SG111HVは、SPD(避雷器:落雷などによる突発的な過電圧・過電流を防ぐ装置)が差し込み式になっているので、パーツ交換も簡単です」と趙氏。SG111HVの集中設置は、メガソーラーのコスト削減に様々な効果をもたらし、投資コストの低減を約束してくれるのだ。

 一方で、集中型パワコンとは違い、設置台数分だけMPPT(最大電力点追従機能)を生かすことができる。そのため、きめ細やかな制御を実現し、発電ロスを最小限に抑えることも可能となる。故障時の影響がシステム全体に及ぶことなく、復旧が容易な点なども分散型パワコンならではだ。

 しかもSG111HVは、分散型パワコンでありながら定格出力は111kWと高出力。従来の分散型パワコンより、少ない台数でメガソーラー全体を制御できる。1500V仕様であることとあいまって、過積載時にも安定した性能を発揮してくれる。

先進の技術力とグローバルな実績をもとに

 メリットばかりに見える分散型パワコンの集中設置だが、それを実現することは容易ではない。そこには、パワコンだけでなく、発電システム全体のトータルなソリューションが求められる。なぜ、サングロウには、それができたのか?

 「サングロウは、たんなるパワコンメーカーではありません。弊社自身がEPCとして、あるいは発電事業者として、世界各国で数々の案件を手掛けてきました。そうした多様な視点とノウハウの蓄積があったからこそ、これが実現できたと思っています。そして、その根本には、お客様のニーズにシステム全体で応えていくという、弊社の設計思想が息づいているのです」。そう話す趙氏の顔には、揺るぎない自信が漲っていた。

 サングロウは、世界有数の太陽光発電用パワコンメーカーだ。大学教授だった曹仁賢氏によって、およそ20年前(1997年)に中国で設立された。2017年末時点のグローバルな設置容量は80GW強、世界シェアは15%強に達している。そして、パワコン以外にもEPCや案件開発を行っており、中国だけでも累計2GWの自社案件を有している。

 さらに趙氏は言う。「創設者が研究者だったこともあり、創業当初より研究開発を重視してきました。現在、従業員は3000人ほどおりますが、そのうち約35%が研究開発に従事しており、管理職の多くが研究開発の出身です。特許取得件数は400件を優に超えています。弊社の強みは、この技術力にあるのです。また、南北アメリカ・ヨーロッパ・中東・アフリカ・アジア太平洋地域に20カ所の拠点を擁し、各国の設置環境や電力事情に合わせた製品を提供し続けています」

 このほど日本で発表されたDC1500Vパワコン「SG111HV」も、先進の技術力とグローバルな実績をもとに生み出されたものだ。同パワコンは、その先行モデルが昨年、アメリカと南米で発売され、既に世界的評価を手にしている。「1500Vシステムで先行する国々で実績を積んだものを、日本仕様にブラッシュアップしたものがSG111HVなのです」と趙氏。メガソーラーの新設を考える事業者なら、期待せずにはいられないところだろう。

 趙氏が率いるサングロウ・ジャパンは、2014年11月に日本法人として設立された。日本国内での出荷量も、既に200MWを超えている。今後については、「SG111HVを中心に1500Vシステムの可能性を追求するとともに、グローバルな自社案件での実績を生かしてO&M事業にも取り組んでいく予定です。一般家庭向けの蓄電システムについても販売を開始したいと考えています。また、EV(電気自動車)関連事業への参入も計画しているところです。FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)に頼らなくてもメリットを感じていただける、次世代型ソリューションを幅広く展開してまいります」(趙氏)とのこと。挑戦しつづけるサングロウから、これからも目が離せそうにない。

<取材・文 廣町公則>

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提供:Sungrow Japan株式会社
アイティメディア営業企画/制作:スマートジャパン 編集部/掲載内容有効期限:2018年3月31日

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