競争が激化する電力・ガス業界、コスト削減に有効な“業務判断の自動化”を実現する手法とは?

» 2019年04月15日 10時00分 公開
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 電力・ガスの自由化から数年が経過し、既に市場からの撤退を決めた企業も登場するなど、エネルギー業界の市場競争が厳しさを増していることはいうまでもない。こうした変化の激しい市場環境のなかで、長期的に生き残るためにはどうすれば良いのか――。そう考える事業者は多いはずだ。

 その答えの一つとして、全企業が確実に取り組むべきポイントに挙げられるのが、業務生産性の向上だろう。電力・ガス業界においては、顧客管理や料金計算、請求書の発行など、さまざまな事務処理が発生する。これらの業務を効率化できれば、経営におけるメリットは非常に大きい。また、事務処理対応が追いつかず、新電力が破綻に追い込まれたというケースもある。

 昨今こうした業務を、人手を介さず自動的に処理し、コスト削減や生産性向上を実現する手法として、「RPA(Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション)」が注目されている。電力・ガス業界でもRPAの活用に取り組みはじめたという声を聞くことが増えてきた。

 しかし、いざRPAツールを導入してみたものの、「思っていたよりも属人化した業務が多く、期待していたほど自動化の効果が出ない」といった課題に突き当たる企業も多い。「まだ導入はしておらず、本当に効果を発揮するソリューションを選びあぐねている」「導入はしたいが、大規模なIT投資やシステム改修は難しい。既存のITシステムと上手く親和性をも持たせたい」といった悩みを抱える事業者も多いのではないだろうか。

 では、こうした悩みを解決し、競争が激化するエネルギー市場において効果を発揮するRPAとは、一体どのようなものなのか。カギとなるのは、人による判断業務までを対象にした“真の自動化”だ。以下ではそれを実現するための手法を解説しよう。

RPAツールでは自動化できない領域をどう乗り越えるか

 現在、さまざまな企業が働き方改革への取り組みを進めている。そこには、ワークライフバランスの実現を通じた従業員満足度の向上、優秀な人材の確保や深刻な人手不足の解消といった狙いもある。もちろん、残業代を減らし、企業の収益の改善も期待できるだろう。

 業務自動化、生産性向上は従来のIT投資の主目的である。そのために多くの企業では、「システム化」に取り組み、ERPなどの基幹システムをはじめ、生産管理や受発注管理、顧客管理などさまざまなシステムを導入してきた。そして、最近では、ソフトウェアのロボットを活用して業務を「自動化」するRPA(Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション)ツールの導入が進んでいる。

株式会社アシスト 東日本技術本部 情報基盤技術統括部 プログレス推進部 課長 佐藤彰広氏

 しかし、RPAツールを導入したことで業務の効率化、「自動化」ができているのだろうか。じつは、多くの企業がRPAツールを導入・活用しても期待しただけの効率化や自動化の効果を感じてはいないようだ。アシストのプログレス推進部の佐藤彰広氏は、その現状について、「RPAツールの導入・活用が進み、新たな課題が見え始めたところ」と分析する。「RPAツールが得意とする分野と、そうでない業務が明確になってきました。そして『不得意な分野』を自動化できないと、本当の意味での業務効率化が図れません。そこにRPA活用の限界を感じている企業も増えてきました」(佐藤氏)というのだ。

 どうしてこのようなことが起きているのか。RPAツールが得意とすることは、表示された画面の内容を読みとったり、特定のボタンをクリックしたりといった作業を伴う、定型的なルーチンワークを大量にこなすことだ。佐藤氏によれば、「じつは一般企業においてそうした定型的なルーチンワークはそれほど多くはありません」という。金融機関だと全業務の10%ほどになるが、一般企業では3%ほどだ(アシスト調べ)。これではいくらRPAで自動化を実現しても、大きい効果をもたらす業務効率化は期待できない。

 一方で、現場で実現したいことは画面の単純な操作だけではない。データを加工し、ときには手計算をおこない、特定の業務判断を頭の中で行う。これこそが解決すべき現場業務のラストワンマイル。従来のRPAツールでは、現場の従業員が本当に必要とする業務の自動化機能を提供するのは難しいのが実情なのだ。

PRAツールが得意とする領域

電力・ガス業界に根強く残る「業務自動化の障壁」

 電力・ガス事業においては、スイッチング処理や、料金計算、請求書の作成など、さまざまな事務処理がある。市場競争が一層激化する中で、こうした事務処理の効率化は電力・ガス事業において非常に重要な改善課題の一つだ。実際にこうした事務処理などの業務が追いつかず、新電力が破綻に追い込まれたというケースもある。

 一方で、2014年のガイドライン発表から自由化開始までの期間が短かったため、必要なシステム改修を最低限とせざるを得なかった、あるいは現在の市場環境を考慮すると、業務改善のために大規模なIT投資をすることは難しいといったジレンマも抱える企業も多いだろう。また、既にRPAなどによる事務処理の効率化を試みたものの、「思ったより自動化できない領域があった」「想定していたほどの効果が出ない」などの課題に突き当たり、結局のところは人手による「現場対応」で乗り切っているという事業者も多いのではないだろうか。

 従来型のRPAツールと呼ばれるものの多くは、パソコン上で動作するロボットを指すにすぎない。現実的にはRDA(Robotic Desktop Automation:ロボティクス・デスクトップ・オートメーション)と呼ぶべきだろう。RDAは、パソコン上で決められた業務を決められた手順で、大量かつ正確に自動化する。しかし、これだけでは人間がやっている多くの業務は実現できないのだ。

 確かにRDAを使えば、特定のサイトからデータをダウンロードしたり、アップロードしたり、あるいは他のアプリケーションを呼び出したりできるだろう。しかし、そうした作業の間には、人間がダウンロードしたデータを抽出・統合したり、特定の判断をしたりすることが求められる。

 こうした現状を踏まえ、佐藤氏は、「これからのRPAに求められるのは、RDAでは難しい『業務上の判断』をも自動化できるナレッジです」と説明する。そして、このような概念で実現するRPAのことを、アシストでは「エンタープライズRPA」と呼んでいる。「一般的に業務の75%には人間による業務判断が必要とされています。エンタープライズRPAを導入すれば、判断を必要とする業務の大部分を自動化できます。RDAと組み合わせることで、ほぼ全ての業務の自動化も可能になるのです」(佐藤氏)。

「エンタープライズRPA」のイメージ

 多くの一般的な企業では、なし崩し的にRPAツールを導入してきた結果、その効果は一部の定型的なルーチンワークの自動化に過ぎず、十分な働き方改革が実現できているとはいい難い。現場でロボットを動かすことで実質的に管理者が不在となり、業務を変更しても間違った動作をし続ける「野良ロボット」という問題も引き起こした。これから本格的にRPAに取り組む電力・ガス業界では、RDAではなくエンタープライズRPAを導入すべきであるだろう。エンタープライズRPAこそが、電力およびガス自由化による影響が色濃く残る業務システムや、その他のバックオフィス全体において自動化を実現し、本当の意味での働き方改革を実現することができるのだ。

人間の判断業務も自動化するプラットフォーム「AEDAN」

 エンタープライズRPAを実現するためのプラットフォームとしてアシストが提供するのが「AEDAN(Ashisuto Enterprise Decision AutomatioN/エイダン)」だ。業務の自動化といっても、BPR(Business Process Re-engineering)といった手法はとらない。従来の業務プロセスはそのままに、そのプロセスをおこなうためのルールを明確にして見える化し、タスクを自動化するというアプローチを取る。

 システムと業務の両面から業務自動化を実現できることも「AEDAN」の特徴だ。RPAツールを使って業務の側から自動化するというアプローチをとることもできるが、ERPの側から設定したルールを呼び出して業務の自動化を実現してもよい。ERPやその他のサブシステムには組み込めなかったビジネスロジックを外部アプリケーションとして実装し、システムと連携させることで業務自動化を実現するのだ。

 実際に「AEDAN」が適用可能な範囲は幅広い。しかも、その多くはRPAツールでは対応できないとされてきた専門性が求められる業務だ。従来は人間しかできないと考えられてきた判断業務も、複数の要素データを集約し、明確なルールに基づき自動化を実現する。事務処理業務だけでなく、採用などの人事関連業務などにも適用でき、新卒採用業務の作業工数を78%削減できた事例もあるという。

 「AEDAN」は単なるRPAツールではなく、複数の技術要素を組み合わせたプラットフォームとして提供される。その中心に据えるのが推論型AI「Progress Corticon」だ。従来は人間の頭の中にあった判断基準を明確なルールとして見える化し、判断業務の自動化を実現させる。「AEDAN」の頭脳にあたるのが「Progress Corticon」と考えてよいだろう。

 設定したルールに基づき業務の自動化やデータの加工を実際におこなうのが、「DataSpider Servista」だ。「Progress Corticon」と連携して実際の業務を担当するため、「AEDAN」の手にあたる部分となる。

 「AEDAN」はプラットフォームとして提供されるため、業務を遂行するために必要な業務ルールの登録だけでなく、その他必要となる設計を行う必要がある。しかし、過去実装経験のある業務についてはソリューションとして展開している。そのうちの一つが「AEDAN for 誤請求防止」だ。

 通常、電力・ガス業界では、発行された請求書の確認作業は、一定のルールのもと請求書の金額から請求明細を逆算する形で人間がチェックを行っているケースが多い。人間がチェックをする以上、場合によっては数千万から億単位にもなる請求書の全件を見ることは不可能なため、一部を抽出してサンプリングを行うことになる。しかしこうした手法だと、どこかで「人的ミス」が生まれる可能性は避けられず、実際に誤請求が発生したというケースもある。こうしたミスの撲滅に「AEDAN for 誤請求防止」をもとに自社のルールを投入していくことで、早期に成果を上げることが可能だ。

「AEDAN」を構成する技術要素

AEDANをフル活用するためのノウハウも提供

 「AEDAN」を提供するにあたっては全体的なフローを明らかにし、「Progress Corticon」を使った判断業務の見える化手法や設定方法など、アシストが培ってきた豊富なノウハウが惜しみなく提供される。そもそも「AEDAN」の中核をなす「Progress Corticon」の設定は決して難しくはない。判断基準は表形式で条件とアクションをルールとして定義づければよい。設定したルールに矛盾がある場合は、「Progress Corticon」に搭載された推論エンジンが指摘し、新たなルールの設定や優先順位づけができるようになっている。

 その上でアシストから、教育やアドバイスなどを含めたトランスファー型の支援を受けることができる。多様に変化するビジネスの現場で、効果の高いエンタープライズRPAを実現するためには、ビジネスプロセスの変更に応じて現場で迅速に対応することが求められる。このため、アシストではユーザー自身が「AEDAN」というプラットフォームを使いこなすために最大限のサポートを提供している。

 企業にとってRPAツールを使った生産性の向上は、働き方改革を実現し企業収益力にも貢献する、なくてはならないものとなっている。しかし、実効性の高いRPAを実現した例は決して多くはない。「AEDAN」によるエンタープライズRPAの実現は、競争が激化するエネルギー業界において、事業者の長期的な成長戦略に大きく貢献するだろう。

株式会社アシスト 東日本第二営業本部 電力・ガス業界担当チーム

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提供:株式会社アシスト
アイティメディア営業企画/制作:スマートジャパン 編集部/掲載内容有効期限:2019年5月24日