EV充電器の電力量課金とOCPP対応を“後付け”で可能に EVサービス事業者注目のソリューションとは?既存のEV充電器をそのまま利用可能

特定計量制度の開始を背景に、電力量課金を導入するEV充電サービスが登場し始めた。しかし、時間課金にしか対応していない既設のEV充電器で電力量課金に対応する方法に苦慮しているサービス事業者も多い。この課題を“後付け”で簡単に解決でき、国際標準のOCPPプロトコルにも対応できる新たなソリューションが登場した。

» 2024年02月22日 10時00分 公開
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 日本だけでなく、グローバルでさらなる普及に注目が集まっている電気自動車(EV)。EVの普及に欠かせない充電インフラについて、政府は「2030年までに30万基の設置」を目指す新たな方針を2023年に発表するなど、市場を取り巻く環境も大きく変化し始めている。こうした政策方針の後押しもあり、新たなEV充電器やそれを活用した充電サービスの開発が加速している。だが、それに大きな影響を与える2つのトピックがある。

 その一つが、「特定計量制度」の開始を背景にEVの充電サービスでも「電力量(kWh)課金」を導入しやすくなったことだ。特定計量制度とは、一定基準を満たせば計量法の検定を受けていないメーターでも電力の従量課金取引を認可する制度のこと。EVの充電サービスは従来、充電した電力量ではなく充電時間で課金するのが一般的だった。しかし、この制度の開始によって充電量に応じた課金が容易になり、より公平性の高いサービスの提供が可能になった。

 もう一つが、EV充電器の通信規格に関するトレンドだ。海外では、電気自動車の急速充電器を管理する国際標準通信プロトコル「OCPP(Open Charge Point Protocol)」の搭載が一般的になっている。遠隔のサーバで充電器制御や監視が可能なOCPPへの対応は、製品競争力の維持やサービス力の拡充といった観点からメーカー各社にとって重要なトピックになっている。

 一方で、充電器および充電サービスを提供する企業には「既に設置しているEV充電器を、どのように電力量課金とOCPPに対応させるか」という課題がある。既設の設備を全て新型に入れ替えるのはコスト的に難しい。

 ここで、“既存のEV充電器を生かしたまま、電力量課金とOCPPへの対応”を実現する新たなソリューションが登場した。それを提供しているのが、横浜市に本拠を置くあすかソリューションだ。

“後付け”で既設EV充電器を「電力量課金」に対応可能に

 あすかソリューションは香港Meter Alliance Companyのグループ会社で、同社製品の輸入販売と日本市場向け製品の研究開発を行っている。2019年の日本法人設立以来、主力製品として太陽光関連の計測機器(PVメーター)を販売してきた。上述した特定計量制度にいち早く対応したメーター類の開発と販売を行っており、その販売実績は5000台以上に上る。

 こうした製品開発のノウハウを生かして新たに開発したのが、EV充電器向けのレールメーター「Asuka Power Meter(IIL2310)」と「OCPP GW(ゲートウェイ)」だ。この2つの機器を設置することで、時間課金しかできない既設のEV充電器でも電力量課金が可能になり、OCPPを利用した遠隔制御も実現する。

Asuka Power Meter

 Asuka Power Meterは、EV充電器を管理する制御盤キャビネットへの設置を想定した特定計量制度対応のレールメーターだ。外形寸法は60 x 99.6 x 103.4mmとなっている。

あすかソリューション 代表取締役の本田氏

 Asuka Power Meterとの併用を想定しているゲートウェイがOCPP GWだ。その開発コンセプトについて、あすかソリューション 代表取締役の本田宗幸氏は「海外のEV充電器はOCPPの搭載が標準化しつつあり、日本でも将来的にOCPPに対応できるように、あらかじめサーバに実装しておくサービス提供者が増えています。しかし、既設のEV充電器の多くはOCPPに対応していません。そこで後付けが可能なゲートウェイにOCPP(V1.6J)コマンドをModbus RTUに置き換える機能を持たせることで、既設の充電器でもOCPPに準拠した通信や遠隔制御を行えるようにしたのがOCPP GWです」と話す。

 OCPP GWはModBus RTU(RS485)のポートを備えており、これを利用してAsuka Power Meterと通信する。OCPP GWとサーバの通信方法は、LTE-M、NB-IoT、イーサネット、Wi-Fiに対応している。OCPP GWの外形寸法は40×60×100mmで、100Vの家庭用コンセントに差すだけで手軽に利用できる。一台で最大20台のメーターと接続可能だ。

 Asuka Power Meterにはラッチングリレーが内蔵されており、外部リレー制御に対応しているのも大きな特徴だ。OCPP GWを介したサーバからの指令でスイッチを制御できるため、遠隔から充電器の電源のON/OFF操作が可能だ。ラッチングリレーの動作出力は1Aで、10万回以上の操作が可能な耐久性を持つという。

システムの構成イメージ

 Asuka Power MeterはEVの普通充電器での利用を想定している。しかし今後、日本国内でも急速充電システムの普及が予想されている。そこであすかソリューションは、急速充電に対応する直流計測が可能なレールメーターも展開する予定だ。このメーターでもRS485通信でOCPP GWと接続でき、外部リレー制御にも対応している。

 あすかソリューションは、2024年内にAsuka Power MeterのJEMIC認証取得と販売開始を予定している。最近では集合住宅や事業所など、複数のEV充電器を設置する施設に電力販売とセットで充電設備を提供するPPAモデル(電力販売契約)のサービスを展開する企業も増えている。PPAモデルを展開する場合、電力量課金の導入は必須と言える。Asuka Power MeterとOCPP GWがあれば、時間課金にしか対応していないEV充電器をそのまま活用できる。

 「EV充電器を入れ替えるには非常に大きなコストがかかります。Asuka Power MeterとOCPP GWは、簡易な設置施工で電力量課金を実現するソリューションであり、多くの事業者の方にとってコスト面でも非常に大きなメリットがあると考えています」(本田氏)

OCPP GW

ECHONET Liteでの制御に対応したゲートウェイも

 国内で広く普及しているスマートホーム向け通信規格であるECHONET Liteでの制御に対応したEV充電器も販売されている。ECHONET Liteによる制御が可能なのは、HEMSコントローラー間の通信仕様を定めたアプリケーション通信インタフェース仕様への適合性を認証する「AIF認証」を取得した機種が対象だ。エコーネットコンソーシアムは、ECHONET LiteによるEV充電器向けのアプリケーション通信インタフェース仕様について国際規格化の提案を進めており、今後採用されれば対応するEV充電器が増えることも想定される。

 あすかソリューションはPVメーターやスマートホーム向けの通信機器も手掛けており、ECHONET Liteの各種認証を取得したコントローラーも開発している。Asuka Power Meterと連携し、ECHONET Liteでの制御にも対応したゲートウェイも開発中だ。

 このゲートウェイはRS485通信の他、LTE-MやNB-IoTなどの長距離無線方式、電力会社のスマートメーターのBルートによる情報取得が可能なWi-SUN、ECHONET Lite(Wi-Fi、イーサネットにも一部対応)などの通信規格に対応している。住宅用のコンセントに差し込むだけで利用可能だ。

 幅広い通信規格対応によって、パワーコンディショナーと接続して太陽光発電の発電情報の取得や出力制御、Bルートを利用した住宅の電力消費関連情報の取得、ECHONET LiteによるEV充電器やHEMS対応家電の制御、各種情報のサーバへの送信など、スマートホームに必要な情報の取得と管理を1台でまとめてできる。Asuka Power Meterと組み合わせればEV充電器のON/OF制御も可能だ。

システムの構成イメージ

「PV EXPO」で実際の動作デモを実演

 あすかソリューションは、東京ビッグサイトで開催される「PV EXPO(国際 太陽光発電展)」(2024年2月28日〜3月1日)に出展する(ブース番号:東1ホール E6-13)。

 同社のブースでは、今回紹介したAsuka Power MeterとOCPP GWによるEV充電器のON/OFF制御の実演に加え、パナソニックのEV充電器「ELSEEV」を利用してECHONET Lite対応ゲートウェイによる遠隔制御のデモも実施する予定だ。

 この他にも、太陽光発電の発電量やスマートメーターからの買電量と売電量の情報を1台で収集できるPVメーターをはじめ、PPAなどのエネルギー事業に役立つソリューションが複数展示される。

 「あすかソリューションは、太陽光発電のPPA事業やEV充電関連サービスなど、脱炭素化に貢献するさまざまな事業に役立つ製品を数多く開発しています。PPA事業をはじめとするエネルギーサービス事業を検討されている方は、ぜひブースに足を運んでいただけますと幸いです」(本田氏)

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提供:株式会社あすかソリューション
アイティメディア営業企画/制作:スマートジャパン 編集部/掲載内容有効期限:2024年3月19日