第18鉄 スハフ12形客車で行く紅葉の旅――わたらせ渓谷鐵道杉山淳一の +R Style(4/5 ページ)

» 2009年11月14日 07時00分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

 通洞駅の隣の足尾駅には、国鉄足尾線時代に当地で活躍した車両が保存されている。ディーゼルカーのキハ30形とキハ35形、タンク貨車のタキ35000形とタキ29300形だ。キハのキは気動車のキ、ハはイロハのハで3等車、現在は普通車を示している。キハ30形、キハ35形は都市近郊の通勤路線に使われたタイプで、扉が車体の外側に吊されている形が特徴だ。タキのタはタンク車のタ、キは積載物の重量が最大級(25t以上)であることを示している※。これらの車両は放置状態だったそうだが、足尾歴史館の方のお話によると、JRの関連会社が好意で再塗装してくれたとのこと。とてもきれいな姿である。

※貨車の積載重量記号は「無し(13t以下)」「ム(14〜16t)」「ラ(17〜19t)」「サ(20〜24t)」「キ(25t以上)」となる。
足尾駅で保存されているキハ30系ディーゼルカー

 ちなみに、わたらせ渓谷鐵道の日中の運行は1時間〜1時間半に1本。通洞駅と足尾駅は線路沿いに徒歩10分ほどだから、両駅を巡るなら次の列車を待つよりも歩いたほうが早い。

トロッコ列車、満席でも「窓付き」ならチャンス有り

 通洞駅の駅長さんにもう1度「トロッコ列車は空いてますか」と聞いたところ、やはり「満席です」とのことだった。しかし「窓付きのほうならあるけど」という。トロッコ列車は4両編成で、中間にトロッコ車両、前後に普通の客車が付いている。トロッコ車両は満席で、普通客車は空いているそうだ。だったら相老でも大間々でもそう言ってくれたら良かったのに……と思いつつ、帰りはトロッコ列車に乗車できた。トロッコ車両ではないけれど、普通客車は旧国鉄のスハフ12形客車だ※。往年の鉄道ファンにはこちらのほうが懐かしい。

※ちなみにスは車両重量が37.5〜42.5t未満、ハは普通車、フはブレーキのフで車掌室と手動ブレーキが着いた車両。

 足尾から大間々までのトロッコ列車の旅は快適だ。トロッコ車両は団体客が予約しており、団体が乗車するまでは見物できた。夕刻の列車は冷えるようで、普通客車に「緊急避難」する人もチラホラ。最後部の普通客車はガラ空きで、筆者はこちらで往年の客車列車の旅を満喫した。トロッコ列車は開放感があるけれど、客車列車も窓を開ければ心地よい風が入ってくる。

ディーゼル機関車牽引のトロッコ列車
トロッコ車両は開放感たっぷり(左)。こちらは懐かしい国鉄時代の客車(右)

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