毎朝7時を過ぎると、成田空港には3機のエアバスA380が次々と舞い降りてくる。最初に上空に姿を現すのが、前日深夜にシンガポールを発ったシンガポール航空機(SQ638便)だ。続いて8時台にはフランクフルトからのルフトハンザ機(LH710便)が、そして9時を回るとパリからのエールフランス航空機(AF276便)が到着。それぞれ所定の駐機スポットに収まると、近くにいる他の旅客機がどれもまるで小さな子供のように見える。
このスケールの大きさこそが、A380の一番の特徴だろう。オール2階建ての構造で、1階と2階を合わせた総床面積はそれまで最大だったボーイングのジャンボ機(747-400)の1.5倍。ボディの長さ(全長)こそ72.3メートルと、現存する機種では最長である同じエアバスのA340-600(75.3メートル)やボーイング777-300(73.9メートル)に及ばないが、それでもJR山手線の車両でいうとほぼ4両分に相当する。圧巻は高さ(全高)と横幅(全幅)だ。地上から垂直尾翼の先までが24.1メートルあり、これは8階建てのビルの高さをイメージしてもらえればいい。そして横幅──左右の主翼の端から端までが79.8メートル。翼の面積でいうと、約538平方メートルあるジャンボ機の主翼が、よく「テニスコート(約261平方メートル)2面分が収まってしまう大きさ」と例えられてきた。同じ言い方をするなら、A380の主翼は約845平方メートルもあり、テニスコートどころかその1.6倍あるバスケットボールのコート(約420平方メートル)が左右に1面ずつ取れてしまう計算だ。
客室のスペースもとにかく広い。仮にすべてエコノミークラスで座席をレイアウトすれば、A380は一度に853人の乗客を運ぶことができる。こんなにも大きな旅客機を誕生させた背景には、エアバスのエンジニアたちのどんな思惑があったのか──。
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