787就航へカウントダウン。初飛来した日本での“熱い1週間”が始まった秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(3/4 ページ)

» 2011年07月05日 15時55分 公開
[秋本俊二,Business Media 誠]

787にとって日本は第二の故郷

 翌7月4日には、羽田空港の南端にある整備エリアに2010年3月に完成したANAの新しいハンガーで、787が改めて報道関係者に披露された。

 全長56.7メートル、両翼の先端までは60.1メートル。同じクラスの767-300ERと比べて、長さは1.7メートルしか違わないが、主翼の幅が12.5メートルも大きい。ハンガーの巨大なスライドドアが開き、整備エリアに待機していた787がトーイングカーに引かれてゆっくりとドックインすると、大勢の来賓や報道陣の間で歓声とどよめきがわき上がった。

「流線型のなめらかなボディが優雅で精悍な印象を受けますね」と私の隣で感想を口にしたのは、大手新聞社のK記者だ。「主翼もこれだけ大きく設計できたのは、やはり高剛性の新素材を使っているからなのでしょう。そこにつり下げられたロールスロイス製のトレント1000エンジンも迫力がありますね」

飛行機と空と旅 整備エリアに待機していた787はトーイングカーに引かれてドックイン

 タラップが装着され、ドアが開くと、姿を見せたのはANAの伊東信一郎社長とボーイング民間航空機部門のジム・オルボー最高経営責任者(CEO)だ。その後の会見で、まずはオルボー氏が次のように話した。

「787は日本で生まれた旅客機だと言ってもいい。機体を構成する全部品の35%を日本の重工メーカー(三菱重工、川崎重工、富士重工)が製造していますし、東レが開発した新しい炭素繊維複合材がなければ787は存在し得なかった。さらにタイヤはブリヂストンが、機内エンターテインメントシステムはパナソニックが供給しています。そしてANAも、ローンチカスタマーとして開発段階からさまざまな意見やアイデアを提供してくれました。787にとって日本はまさに第二の故郷です。こうしてみなさんのもとにやって来られたことを、心から嬉しく思っています」

飛行機と空と旅 ANAの伊東信一郎社長(左)とボーイング民間航空機部門のジム・オルボーCEO

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.