旅客機の整備の話。“空の安全”はどう守られている?秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(1/4 ページ)

» 2011年08月19日 08時00分 公開
[秋本俊二,Business Media 誠]

 旅客機の整備は、飛行時間や飛行回数によって「ライン整備」「A整備」「C整備」「M整備」の4つの段階に分けて実施される。それぞれの現場を訪ね、世界の空を毎日のように飛び続ける旅客機がどう整備されているのかを見ていこう。

ライン整備とドック整備

 まず、空港でスポットに到着してから出発するまでの間に駐機エリアで実施されるのが「ライン整備」である。ライン整備は目視による点検が基本だ。外観に異常がないか、タイヤがすり減っていないかなどをチェックする。旅客機が着陸してから次に出発するまでの時間は、国際線で約2時間、国内線の場合はわずか45分〜1時間。もし不具合が発見されれば、その限られた時間内に修理を終えなければならない。ライン整備の仕事は乗客が飛行機を降りた瞬間から始まり、まさに時間との戦いである。

 少しでも効率よく整備を進めるために、最新の旅客機は、上空を飛行中に自機の状態を地上に送信する機能を備えるようになった。整備士たちは、空港に向かって飛行中の旅客機から送られてくるデータや情報をもとに事前に交換部品などを用意し、迅速に対応できる体制をとる。

飛行機と空と旅 到着する機体を待ち受ける整備士たち。ライン整備は時間との戦いだ

 こうしたライン整備が各地の空港で日常の運航の合間に行われるのに対し、ハンガー(格納庫)に機体を搬入してより本格的に点検・整備を行うのが、次に紹介する「ドック整備」と呼ばれるもの。ドック整備は成田や羽田などの主要な空港が舞台になり、飛行時間や期間によって「A整備」「C整備」「M整備」に細分化されている。

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