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» 2011年08月19日 08時00分 公開

秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話:旅客機の整備の話。“空の安全”はどう守られている? (3/4)

[秋本俊二,Business Media 誠]

重整備に対応する近代設備

 さて、C整備には最低でも1週間から10日、M整備になると約1カ月の期間を要することは前述したとおりだ。それだけの重整備には大がかりな施設が必要で、主要エアライン各社はそれぞれのハブ空港に近代的な設備を整えた巨大なハンガーを設置し、重整備に対応している。ここで、実際にハンガーの内部を覗いてみよう。

 整備ハンガーを空港側から眺めてみると、まず目につくのが、旅客機を出し入れするためのスライド扉だ。初めて近くで見る人は、その大きさに圧倒されるかもしれない。旅客機を搬入するときに垂直尾翼がひっかからないよう、扉の上部に切り込みを入れてあるハンガーにも何度かお目にかかった。現時点で最も大きいエアバスA380は、地上から垂直尾翼の先までの高さが24.26メートル──これは8階建てのビルの高さに相当する。

飛行機と空と旅 日々の安全を支えるエアライン整備士たち。ソウルの大韓航空整備ハンガーで

 そのスライドドアから中に入ってみると、巨大な建物の内部は、整備士たちが効率的に作業を行えるよう随所に工夫が凝らされていた。たとえばC整備では、部品を一つひとつ取り外して点検作業を行う必要から、機体のどの場所にも手が届くように「ドックスタンド」と呼ばれる作業用の足場が組めるようになっている。天井には、交換する部品を運搬するためのクレーンなども装備。フロアに配置された大型のラックは、必要なときに必要な工具や器具類をスムーズに取り出せるよう、きれいに整理整頓されていたのも印象的だ。周囲を見わたすと、目に入ってくるのは重要部品を専門に整備する「ショップ整備」のための施設で、機体から取り外されたエンジンや電子機器などはここで重点的に検査・修理される。

ヨーロッパ最大の整備格納庫

 主要空港に設置されたエアライン各社のハンガーは、大型機でも一度に2機、単通路の小型機なら3機を収納できるスケールのものが少なくない。M整備で搬入された機体があれば、約1カ月にわたってハンガーの一角が占拠されてしまうので、他の機体の整備も同時に実施するとなるとどうしてもそれだけのスペースが要るのだ。

 当然、旅客機が大型化すれば、より大きなハンガーが必要になる。ドイツのフランクフルト空港で、2008年に開設されたルフトハンザのA380用整備ハンガーを見学させてもらった。

飛行機と空と旅 フランクフルト空港に開設されたルフトハンザのエアバスA380用巨大ハンガー

 床面積およそ2万5000平方メートルのこの新ハンガーは、幅79.76メートル、高さ24.26メートルのエアバスA380を、現段階で2機(ボーイング747なら3機)格納できるスペースを有している。内部に立って周囲を見渡してみると、とにかく広い。ルフトハンザの幹部は「フランクフルト空港は、今後私たちが運航していく計15機のA380のペース基地になります」と話していた。同ハンガーの第2期工事もすでに進行中で、2015年にはA380を4機同時に整備できるヨーロッパ最大の巨大整備ハンガーがフランクフルト空港に誕生する。

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