板尾創路が映画業界から愛されるのはなぜ?

» 2011年10月19日 19時18分 公開
[安保有希子,ハリウッドチャンネル]
クランクイン!

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映画専門サイト「ハリウッドチャンネル」で連載中の、映画業界のウラ側や疑問を読み解く納得のコラム(※この記事は、ハリウッドチャンネルより転載しています)。


 10月15日に公開された「電人ザボーガー」に主演する板尾創路。お笑いタレントとして活躍するかたわら、ここ数年、俳優としても注目を集めている。

ハリウッドチャンネル 映画出演が続く板尾創路(C)2011「電人ザボーガー」フィルム・パートナーズ

 最近の主な出演作には、「板尾創路の脱獄王」「武士道シックスティーン」「NECK」「太平洋の奇跡 −フォックスと呼ばれた男−」「さや侍」「ワラライフ!!」など、さまざまなジャンルの作品が名を連ねている。さらに、2012年1月19日には監督・主演・脚本の3役を担当した「月光ノ仮面」も公開されと、まさに、ノリに乗っている1人といえよう。

 ただ、彼はあくまでもお笑いタレントである。演技を専門としている俳優ではなく、なぜこうも板尾創路が起用されるのだろうか。そして、彼のどういった点が魅力なのか。「電人ザボーガー」の関係者が、板尾創路を起用した理由を井口昇監督に代わって話してくれた。

「主人公の大門豊は、秘密刑事退職後に得た運転手の職を失って無一文となり、さらに、糖尿病を患ってインシュリンが手放せずと、散々な状況です。そんな人物が再びヒーローとして立ち上がるというストーリーなので、普通であれば、熱い人をキャスティングするのですが、熱さと正反対の人物を探していたんです。というのも、キックを失敗したり、腰が痛いと口にしたりなど、ちょっとダメダメな感じというか、完全無欠ではなく、47歳の等身大のヒーローにしたかったから。そういった点が、板尾さんにピッタリだったんです」

 また、板尾創路自身は、コントっぽくなるのでは? と心配していたそうだが、関係者は「板尾さんだったからこそ、47歳のヒーローの雰囲気が上手く出せ、その奮闘ぶりを見て、自分もがんばらなくては、と思ってもらえる」と、彼の演技を絶賛する。

 さらに、別の関係者はこう口にする。

「演技力という点では、ベテランの役者さんには勝てないかもしれません。ですが、一生懸命、真剣に演じているのに、どこかコミカルでユーモラスさを感じてしまう。そういった雰囲気は、逆に役者さんでは出せないんです。お笑いをやられている板尾さん独特とでもいいましょうか。それゆえ、誰を選ぶ、どちらがいいとかではなく、板尾創路という人物を起用したくなるんです。また、これはお笑いの方の多くにいえることかもしれませんが、打てば響くといった感じで反応が良く、器用ですよね。それは、突っ込んだり、突っ込まれたり、ノリツッコミをしたりと、どのような状況にも対応できるよう、日ごろから鍛えられているからかもしれません」

 上記のことを踏まえると、俳優での代替えもきかない唯一無二の存在である板尾創路への映画出演オファーは、今後、さらに増えていきそうだ。

映画ライター:安保有希子

1975年生まれ。夕刊フジ、日経エンタテインメント、DVDレビューなど、新聞・雑誌で執筆する傍ら、ラジオで映画コメンテーターを務める。ジャンルを問わず映画を鑑賞するが、好んで足を運ぶのは、B級とホラーとアニメ。そのため、オタクと勘違いされやすいものの、決してそうではない、と頑なに言い張っている。


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