NHKドラマの実力と、俳優から見たNHKドラマ出演のメリット映画ウラ事情

» 2011年10月03日 15時40分 公開
[安保有希子,ハリウッドチャンネル]
クランクイン!

「映画ウラ事情」とは:

映画専門サイト「ハリウッドチャンネル」で連載中の、映画業界のウラ側や疑問を読み解く納得のコラム(※この記事は、ハリウッドチャンネルより転載しています)。


ハリウッドチャンネル 話題のNHKドラマ「セカンドバージン」が映画化! (C)2011映画「セカンドバージン」製作委員会

 2010年10月から12月にかけて放送されたNHKドラマ「セカンドバージン」。鈴木京香の大胆なベッドシーンが話題となり、平均視聴率8.6%、最終回は同枠最高となる11.5%の視聴率を記録するほどのヒットとなった。そして、主要キャストはそのままに、ドラマから5年後のクアラルンプールを舞台にした映画「セカンドバージン」が9月23日から公開された。

 今回のように、NHKのドラマがそのままのキャストで映画化される場合もあれば、「八日目の蝉」「クイール」「ゲゲゲの女房」など、NHKがドラマ化したあとで、別キャストによる映画化というパターンもある。さらに付け加えるならば、NHK大河ドラマ「篤姫」で主役を演じた宮崎あおいは、同作によって国民的女優と呼ばれるようになり、連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」でヒロイン役にふんした松下奈緒は、この作品でブレイクした。

 そう考えると、民放よりもNHKドラマのほうが秀逸で、注目度も高いのだろうか。関係者に聞いてみた。

「民放のドラマの質が悪いということではなく、スポンサーがいないぶん、変に気を使うことなく、自由なドラマを制作できるのがNHKなんです。無理に商品を出したり、CMで物語が途切れることもないですから。さらに、視聴率は気にするものの、民放ほど必死にならなくていいNHKは、ジャニーズやAKB48などのアイドルに媚びる必要がない。つまり、演技重視でキャスティングできる。だからこそ、重厚なものや本格派、年輩の方が喜ぶ作品が作れる」

 では、俳優から見たNHKドラマはどうなのだろうか。

「やはり魅力的だと思いますよ。例えば、フジの月9は注目度の高い枠ですが、ある一定の層にしかアピールできません。その点、NHKのドラマは年齢層が幅広いだけでなく、年輩の方の信頼度が非常に高い。NHKに出演できて一人前、なんてことを言う人もいるんですから。また、民放のように●●県では見れないということがないため、確実に全国区。顔を売るならNHKのほうがいいですよね。そこにきて演技重視の本格派ドラマとなれば、俳優にしてみたら、“ギャラとか関係なく、とにかく出演したい”というのが本音でしょう。そこで名を馳せれば、自然と道が開けてきますからね」。

 さらに――と、関係者は付け加える。

「NHKのドラマに出て、幅広い層に顔を認知されれば、CMが入ってきます。結局、ドラマや映画だといっても、ギャラがいいのはCM。そういった面からしても、NHKドラマで知名度を上げるというのは重要なことなんです」。

 上記のことを踏まえると、NHKドラマは要チェックしたほうが良さそうだ。

映画ライター:安保有希子

1975年生まれ。夕刊フジ、日経エンタテインメント、DVDレビューなど、新聞・雑誌で執筆する傍ら、ラジオで映画コメンテーターを務める。ジャンルを問わず映画を鑑賞するが、好んで足を運ぶのは、B級とホラーとアニメ。そのため、オタクと勘違いされやすいものの、決してそうではない、と頑なに言い張っている。


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