映画専門サイト「ハリウッドチャンネル」で連載中の、映画業界のウラ側や疑問を読み解く納得のコラム(※この記事は、ハリウッドチャンネルより転載しています)。
2010年10月から12月にかけて放送されたNHKドラマ「セカンドバージン」。鈴木京香の大胆なベッドシーンが話題となり、平均視聴率8.6%、最終回は同枠最高となる11.5%の視聴率を記録するほどのヒットとなった。そして、主要キャストはそのままに、ドラマから5年後のクアラルンプールを舞台にした映画「セカンドバージン」が9月23日から公開された。
今回のように、NHKのドラマがそのままのキャストで映画化される場合もあれば、「八日目の蝉」「クイール」「ゲゲゲの女房」など、NHKがドラマ化したあとで、別キャストによる映画化というパターンもある。さらに付け加えるならば、NHK大河ドラマ「篤姫」で主役を演じた宮崎あおいは、同作によって国民的女優と呼ばれるようになり、連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」でヒロイン役にふんした松下奈緒は、この作品でブレイクした。
そう考えると、民放よりもNHKドラマのほうが秀逸で、注目度も高いのだろうか。関係者に聞いてみた。
「民放のドラマの質が悪いということではなく、スポンサーがいないぶん、変に気を使うことなく、自由なドラマを制作できるのがNHKなんです。無理に商品を出したり、CMで物語が途切れることもないですから。さらに、視聴率は気にするものの、民放ほど必死にならなくていいNHKは、ジャニーズやAKB48などのアイドルに媚びる必要がない。つまり、演技重視でキャスティングできる。だからこそ、重厚なものや本格派、年輩の方が喜ぶ作品が作れる」
では、俳優から見たNHKドラマはどうなのだろうか。
「やはり魅力的だと思いますよ。例えば、フジの月9は注目度の高い枠ですが、ある一定の層にしかアピールできません。その点、NHKのドラマは年齢層が幅広いだけでなく、年輩の方の信頼度が非常に高い。NHKに出演できて一人前、なんてことを言う人もいるんですから。また、民放のように●●県では見れないということがないため、確実に全国区。顔を売るならNHKのほうがいいですよね。そこにきて演技重視の本格派ドラマとなれば、俳優にしてみたら、“ギャラとか関係なく、とにかく出演したい”というのが本音でしょう。そこで名を馳せれば、自然と道が開けてきますからね」。
さらに――と、関係者は付け加える。
「NHKのドラマに出て、幅広い層に顔を認知されれば、CMが入ってきます。結局、ドラマや映画だといっても、ギャラがいいのはCM。そういった面からしても、NHKドラマで知名度を上げるというのは重要なことなんです」。
上記のことを踏まえると、NHKドラマは要チェックしたほうが良さそうだ。
1975年生まれ。夕刊フジ、日経エンタテインメント、DVDレビューなど、新聞・雑誌で執筆する傍ら、ラジオで映画コメンテーターを務める。ジャンルを問わず映画を鑑賞するが、好んで足を運ぶのは、B級とホラーとアニメ。そのため、オタクと勘違いされやすいものの、決してそうではない、と頑なに言い張っている。
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