この日料理とともに供されたのは、フランス・サロン社のシャンパン。サロンはフランスのシャンパーニュ地方、メニル・シュル・オジェ村にあるシャンパンメーカーで、ぶどうが不作だった年には生産せず、ぶどうの当たり年にだけシャルドネの一番搾り果汁を使ってシャンパンを1種類だけ作るというこだわりで知られている。作ってから飲み頃になるまでには10年以上の熟成期間が必要で、100年で製造されたのは37ビンテージのみ。年間の生産量は5万〜6万本程度しかないという希少なシャンパンだ。
JALではこのヴィンテージシャンパンを2007年12月からファーストクラスで提供している(積み込むのは1便に2本まで、成田発のロンドン、パリ、ニューヨーク線のみ)。生産量が少ないこともあり、サロン社がエアラインへ提供したのはこれが初めてだという。
JALのファーストクラスは1便あたり8席しかない。「機内食」と書いてしまうと、ついワントレイにパンもメインディッシュも載った給食風のアレを想像してしまうが、ファーストクラスではキャビンアテンダントが客の食事の進み具合を見ながら、一皿ずつ料理を供してくれる。温かい料理は温かく、冷たい料理は冷たく。
一皿目は、3品の盛り合わせ。まず「冷たい椎茸のポタージュ」に驚かされた。ガラスの器の中には、細かくカットしたホタテ貝とホワイトセロリ。目の前でキャビンアテンダントがポタージュを注いでくれる。
ポタージュの隣には、「かつお節のサブレ」。サブレはクッキーのことだ。サブレの上にはブイヨンに漬けた数の子のマヨネーズ和えが載っており、さらにオリーブを刻んでカルダモンの風味をつけたタプナードが散らしてある。数の子を食べながらシャンパンや白ワインを飲むと独特の苦みを感じることが多いが、この日はなぜかそれがなく、おいしく感じた。
「“龍吟スペシャリテ”トリュフおからのコロッケ仕立て」も面白い料理。小さなココット皿になめらかなペーストが詰められ、その上にカリカリに揚げたパン粉とトリュフオイルをかけたもので、スプーンですくって口に入れると揚げ物のような食感と味が楽しめる。トリュフオイルをかけるのはお皿を出す直前で、キャビンアテンダントが担当する。「何滴かけるかまできっちり決まっているんです」という。
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