JALでは2009年から成田空港のラウンジで、2011年からは羽田発のハワイ線でもメゾンカイザーのパンを提供している(参照記事)。この日のパンはメゾンカイザーのものだろうと思っていたら、出てきたのは予想とまったく違うものだった。
キャビンアテンダントが大きめのカゴに載せて勧めるパンは「焼き芋のパン」「ピスタチオのパン」「生姜のパン」「米粉で仕立てたパン」の4種類。生姜と米粉のパンは通年で、残り2種類のパンは季節ごとに変わるという。実はこれ、「ここにしかないパンを出せないか」ということで、山本シェフがレシピを考案したパンなのだという。
もっちりとした米粉のパン、生姜の風味が強めに効いたパンはいずれも真ん丸で、料理によく合う、見た目も味も食事パンらしいもの。食べ飽きない、和食にも合いそうな味だ。
遊び心が素晴らしい! と思ったのは季節のパン。ピスタチオのパンは、たっぷりとピスタチオのペーストが練り込まれ、中まで鮮やかなグリーン。焼き芋のパンは、割ると中からサツマイモがゴロリと出てきて「ホントに焼き芋だ!」とびっくりした。山本シェフは当初、サツマイモもパンに練り込むことを考えていたが、ファーストクラスを利用するのは年配の男性が多いことを考慮し「パンの中からホントの焼き芋が出てくるほうが面白いだろう」とこの形にしたのだという。
パンがおいしくてうっかり食べ過ぎてしまい(せっかくエシレのバターが添えられていたのに使わなかった)、だいぶおなかいっぱいになったところでいよいよメインディッシュ。
この日は事前に、「和牛のステーキ」「ジビエ」「魚料理」の3つの中から1つを選ぶことになっていた。筆者が選んだのはジビエ。お皿に盛られた蝦夷鹿の肉は、周りだけ加熱して中はレアのように見え、見た目はまるで「カツオのたたき」。メニューには「米藁のスモークロースト」と書いてあるから、山本シェフもカツオのたたきを意識しているのだと思う。食べてみると見た目に反して中まで熱が通っており、非常に歯切れよく柔らかだ。お、おいしい……。
実はこの料理はもともと、龍吟で山本シェフが秋〜冬のスペシャリテとして出しているお皿が元になっているという。特殊な機器を使い、肉の回りに熱した油を行き渡らせることによって、焼くのでも蒸すのでもない熱の入れ方を実現しているのだそうだ。「実はこれ、ある医療用機器を使って加熱しているんです。山本さんがお店で使っているのと同じ機械をJALでも購入しました」(JAL 商品・サービス開発部マネージャー田中誠二氏)
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