第57鉄 2つの塔でパノラマくらべ――鹿島臨海鉄道でRPG(?)な旅杉山淳一の +R Style(3/5 ページ)

» 2012年03月19日 10時00分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

 激しい通り雨に見舞われつつ15分ほど歩き、雨が上がったところで公園着。庭園風の遊歩道をひとめぐりしたあとで展望塔へ。海抜77mだそうで、オフィスビルで言うと25階くらいだろうか。360度の見晴らしで、鹿島臨海工業地域、鹿島灘を一望できる。列車からよく見えなかった鹿島サッカースタジアムの全容も見えた。

はまなす公園のシンボル「宇宙展望塔」
塔からの眺め。臨海工業地帯とサッカースタジアムを一望する(Image Composite Editor でパノラマ合成、クリックすると拡大)

 ところで、海岸にシイタケをスライスしたような形の突堤がいくつか見える。壁の説明書きによると、「ヘッドランド」といって、海岸の砂浜の消失を防ぐ施設だそうだ。利根川河口付近の波崎から大洗海岸にかけて、約70kmの海岸に34基も造られた。鹿島灘沿岸の開発と、付近の河川の護岸工事のおかげで砂浜に砂が供給されなくなり、砂が流出超過になっているという。効果はいかほどかと思うけれど、震災の津波でさらに砂が流されたかもしれない。

シイタケのスライス……

北浦湖畔でバードウォッチ

 鹿島臨海鉄道というけれど、大洗鹿島線から海は見えず、列車は田んぼの中を走っていく。「臨海」なのは同社がもとから運営していた工業地帯路線だけらしい。どこか景色の良いところはないかと地図を見れば、北浦湖畔駅が湖に接している。何にもなさそうだけれど、何にもないところがきっといい。築堤の上の駅で降りた。線路の先はゆるいカーブになっており、ホームからの眺めも良い。水面の輝きと緑の田んぼ、青い空、赤いディーゼルカー。うまく写真を撮れたらポスターかジグソーパズルにしてみたい。

北浦駅からの眺め

 思った通り、水田と湖以外はなにもない。駅前だがコンビニもよろず屋もなかった。民家は駅の向こう側にいくつか見えていた。それでもせっかく降りたから、田んぼの脇の道を湖畔まで歩いてみた。民家が少ないと野良猫すらいない。しかし、遠くに白い鳥が群れを作っている。きっと白鷺だろう。つがいを作ってデートをするように舞う姿もある。ここは白鷺の楽園だ。

北浦湖畔からの眺め(Image Composite Editor でパノラマ合成、クリックすると拡大)

 彼らは水田の蛙やオタマジャクシなどを食べる。だけど鷺の巣は森の中にあって、雛のためにオタマジャクシを運んでいく。その途中で落とすことも多く、各地でオタマジャクシが降る現象で話題になった。森や林が減って宅地が増え、鷺の巣が遠くなっているからだろう。

 次の列車まで30分以上ある。白鷺の飛ぶ姿にカメラを向けた。ちょっとしたバードウォッチングだ。仲むつまじい二羽の姿、離着陸の動的な瞬間を捉えようとするけれど、レンズを覗いたときに限って彼らは動かない。鳥のくせに飛ばないとはサギじゃないか……。

鳥の写真って難しいですね

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