第57鉄 2つの塔でパノラマくらべ――鹿島臨海鉄道でRPG(?)な旅杉山淳一の +R Style(4/5 ページ)

» 2012年03月19日 10時00分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

締めくくりは大洗マリンタワー

 この先、大洗鹿島線はもう1つ湖畔を通る。涸沼(ひぬま)といって、海水が流れ込む汽水湖であり、全国有数のシジミの産地だという。最寄り駅は涸沼駅。湖の景色は北浦で堪能したし、次は大洗駅付近を歩くつもりだから、ここは通りすぎた。高架の線路から湖面が見えて、こちらは民家も多いようだ。今日は鹿島神宮以外で町歩きをしていないから、もうすこし早起きしてくれば立ち寄れたかと、少し悔やむ。

 広い大地を長いトンネルで通り抜ける。贅沢な線路だと思う。国鉄末期の高規格路線、おそらく長大な貨物列車も想定して、踏切を廃し、高架線路とトンネルを通したのだろう。そのトンネルを出ると、右手の遠くにガラスの塔が見える。大洗マリンタワーだ。あそこを今日の旅の締めくくりにしよう。

大洗駅に到着

 大洗駅は高架駅でホームは2面。車両基地もあって、鉄道好きには良い眺めだ。数両の赤いディーゼルカーのなかに、めんたいこメーカー「かねふく」の広告車もあった。めんたいパークという施設があり、工場見学もできるそうだ。魚介類が苦手な私も認知した。かなり効果の高い広告ではないか。

 大洗マリンタワーは大洗駅から約1km。この付近を循環する100円バス「海遊号」がある……とは、このときの私は知らなかった。海へと見当をつけて歩き出し、塔が見えたらその方向へ。だいたい15分くらいで着いた。大きく見えるけれど、塔の全高は60mで、意外にもはまなす公園の塔より低い。

ガラス張りの大洗マリンタワー

 全面ガラス張りの塔は華奢な印象もあって、地震のときはさぞや……と思った。しかし尋ねると、ガラスの破損は一枚もなく、周辺の地盤沈下があった程度だったそうだ。エレベーターには「強い余震が発生したときは安全な階に停止する」と大きな張り紙があった。展望階行きのエレベーターもガラス張りで、空へ射出されるような心地になる。

 展望階からの眺めも気持ちがいい。陸側は大洗駅、その向こうに日立のエレベーター実験棟が見えた。今日は曇っていたけれど、空気が澄んでいれば日光連山や那須連山まで見通せるらしい。海側は手前の大洗港が興味深い。海外の様々な大型コンテナがずらりと並び、大型フェリー「さんふらわあ」も入港中だ。この船は18時30分に出港し、明日の昼過ぎに苫小牧に着く。関東に住むバイク乗りにとって、この船は北海道ツーリングの定番ルートの1つである。

展望台からの眺め(Image Composite Editor でパノラマ合成、クリックすると拡大)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.