アナログ時計なのに多機能、本格派すぎるアウトドアウォッチ――PRX-7000TPROTREK開発者インタビュー(1/4 ページ)

» 2012年04月10日 22時10分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]
PRX-7000T(画像をクリックすると拡大)

 カシオのアウトドアウォッチ「PROTREK(プロトレック)」シリーズのハイエンドモデル「PRX-7000T」が、4月6日に発売された。

 プロトレックの中でも最上級モデルには、ヒマラヤ山脈にある8000メートル峰の一つ「マナスル」の名を取り、「プロトレック マナスル」というシリーズ名が冠されている。PRX-7000Tはマナスルとしては3代目のモデルにあたり、同シリーズでは初めて、デジタルではなくアナログ表示の腕時計となっている。

 PRX-7000Tとは、どのような腕時計なのか。そもそも、アウトドア、特に登山用ウォッチに求められる機能とは? 開発者に話を聞いた。

左から初代(PRX-2000T)、2代目(PRX-2500)、3代目(PRX-7000T)マナスル。3代目マナスルでは液晶がなくなり完全にアナログ表示になった。2代目は初代をベースに20気圧防水対応をしたもので、月齢・月の形を表示するムーンデータや潮汐情報を表示するタイドグラフも液晶で表示する多機能ぶり。釣り人のニーズに応える高機能モデルだ

究極のアウトドアウォッチ「プロトレック マナスル」

 カシオのアウトドアウォッチ、プロトレックの歴史は古い。プロトレックシリーズには必ず、方位・圧力・温度のトリプルセンサーが搭載されているが、初のトリプルセンサー搭載ウォッチ「ATC-1100」が発売されたのが1994年、翌1995年にはプロトレックブランドの初号機「DPX-500」が発売された。

 プロトレックは「プロトレックサポーターズ」として、一流のエキスパートと提携。実際にフィールドで製品を使ってもらい、その声を製品開発に生かしている。中でももっとも良く知られているのが、登山家・竹内洋岳氏との関係だ。

登山家、アドベンチャーレーサー、釣りなどさまざまなエキスパートが「プロトレックサポーターズ」としてプロトレックを使用し、生の声を製品開発へフィードバックしている

 2007年、マナスルへ竹内さんが登頂したときの経験を反映して生まれたのが、プロトレックシリーズの最高峰「プロトレック マナスル」である。竹内さんはプロトレック(PRW-1300)を持ってマナスルに上り、標高8000メートルの極限状態で使ってみた感想を、プロトレックの開発メンバーに伝えた。竹内さんのアドバイスを反映して誕生した、高度1万メートルまで測れるプロトレックシリーズの最高峰が「マナスル」。冗談でなく、ヒマラヤ登山でも使える本気のアウトドアウォッチなのだ。

 標高8000メートルを超える山は世界に14座あり、すべて登頂した日本人はいない。竹内さんはマナスルを含む13座を制覇し、現在最後の山「ダウラギリ」の挑戦に入っている。今回もプロトレックを持ってのアタックになるという。

 今回インタビューした牛山和人さんは、プロトレックのデビューと同じ1995年にカシオ計算機に入社、以来ずっとプロトレックのモジュール部分の開発・商品企画に長く携わってきた人物だ※。2005年からは「プロトレックの企画をしているのに山を知らないのでは、良い商品が作れない」という理由で登山家の岩崎元郎氏に弟子入り。自らも本格的に登山を始めたという、いわば“ミスタープロトレック”といえる存在である。

※モジュールとは腕時計の駆動部分のこと。プロトレックのほか、「FROGMAN」「MUDMAN」といったG-SHOCKの一部モデルのモジュール企画も担当していた。
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