新型になったアウディ A4 クワトロ、いかにも現代的なスポーツセダン試乗インプレッション(2/3 ページ)

» 2012年05月07日 14時22分 公開
[吉村哲樹,Business Media 誠]

ソフトな乗り心地とトルクフルなエンジン

 まずは、市街地ステージを走行してみる。走り始めてまず感じたのは、とにかく乗り心地がいいこと。エクステリアとインテリアのスポーティな印象から固めの乗り心地を想像していたのだが、市街地での乗り味はむしろ真逆の印象だ。少し荒れた路面やギャップを乗り越えるときでも、突き上げてくるような不快な振動はほとんど伝わってこない。足回りが路面からの振動や衝撃を非常にうまくいなしてくれているようだ。スポーティな見た目とは裏腹に、むしろソフトな乗り心地といっていいだろう。

A4A4A4 (画像をクリックすると拡大します)

 小口径ステアリングの操作感も軽く、ストレスなく操舵できるが、筆者にとっては少し軽すぎるように感じた。Audi A4の電動ステアリングシステムは、車速によってステアリング比が変化するようになっているそうだが、低速時のステアリングの手応えは少し頼りない感じた。ステアリングが小口径なことも相まって、ラフなステアリング操作はそのまま車の挙動に反映されるので、低速走行時でも丁寧なステアリング操作を心掛ける必要がある。

 また今回のマイナーチェンジでは、全車種でスタートストップシステム(自動アイドリングストップ機能)が標準装備となった。このスタートストップシステム、エンジン再始動が実にスムーズで速い。今では多くのモデルで採用されるようになった自動アイドリングストップ機能だが、中にはエンジン再始動の反応が少し鈍く、発進のときに一瞬ヒヤッとさせられるものもある。しかし、Audi A4のこのスタートストップシステムなら、そうした心配とは無縁だろう。

 ちなみに、1500rpmという低回転域から早くも最大トルクを発揮するエンジンは、実にパワフルだ。車重1.7トンという決して軽くない車体を、グイグイ加速させていく。発進時に気持ち多めにアクセスを踏み込むだけで、背中がバックレストに張り付くような力強い加速感を味わうことができる。まさに「トルクの塊」という表現がぴったりだ。

A4A4 2リッター直列4気筒DOHCインタークーラー付きターボ(画像をクリックすると拡大します)

 このエンジンと組み合わされる7速Sトロニックのシフトチェンジも、非常にスムーズだ。1速から2速へのシフトアップで若干のショックを感じることはあるものの、それ以外ではほとんどシフトショックを感じさせることなく、スムーズにシフトアップしていく。

 ただ、デュアルクラッチ式ミッション搭載の車に乗っていつも思うのは、「低速域での頻繁なストップ&ゴーでは慣れが必要だなあ」ということだ。トルコン式ATミッションの滑りやクリープ現象を前提としたラフなアクセル&ブレーキ操作では、デュアルクラッチ式ミッションの場合はどうしてもギクシャクした挙動になってしまうのだ。恐らく、MTミッションの1速や2速で低速走行するときのような、繊細なペダルワークが必要とされるのだろう。

 また発進時のトルクの出方にも、デュアルクラッチ式ミッションならではの個性が表れている。トルク増幅機能を備えたトルコン式ATミッションと同じ感覚でアクセルを踏み込むと、一瞬「あれ、進まないぞ?」と感じる。しかし次の瞬間、エンジン回転数が1500rpmを越えた途端に一気にトルクが盛り上がって、グイグイ加速を始める。トルコン式AT車から乗り換える場合には、この辺りの感覚の違いにもある程度の慣れが必要だろう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.