新型になったアウディ A4 クワトロ、いかにも現代的なスポーツセダン：試乗インプレッション（3/3 ページ）

[吉村哲樹，Business Media 誠]

高速走行では抜群の安定性を発揮

　市街地ステージでは中低速域での走行が中心だったが、この車の真骨頂が発揮されるのはやはり高速域においてだろう。高速走行での安定性は、さすがと思わせるものだった。とにかく、恐ろしいほど安定している。ここで「恐ろしいほど」と書いたのは、あまりにも安定しているので、いつの間にか恐ろしいほどのスピードが出てしまっているという意味も含む。

　ステアフィールも、低速域での頼りなさから一転して、しっかりした手応えが感じられる。不快な振動やノイズなど、ドライバーに不安感を感じさせるような要素がほとんど入ってこないため、ついつい知らないうちにスピードを出し過ぎてしまう。ロングホイールベースに低重心、それにクワトロフルタイム4WDが加わっているのだから、高い走行安定性を示すのはある意味当たり前なのかもしれないが、それにしても高速走行でのこの安定感は、さすがアウトバーンでの走行を前提に作られているだけある。

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　ちなみに、先ほど不快なノイズは車内にほとんど入ってこないと書いたが、エンジン音はある程度はキャビン内に入ってくる。しかし決してうるさいという印象ではなく、むしろ低音の落ち着いた音で音量も大きくないため、不快に感じることはない。ただしアクセルを完全に抜いた状態、エンジンの回転数が1000〜1500rpmのエリアに限って、「ボボボボ」という少しノイジーな低音が車内に入ってくる。この音も人によっては気にならないかもしれないが、筆者は試乗の間中、終始気になってしまった。ただ、この低音のエンジンノイズが2.0 TFSI quattroのエンジンに特有のものなのか、あるいは他モデルのエンジンにも共通するものなのか、はたまた試乗車の個体差によるものなのかは、残念ながら今回の試乗では判別できなかった。

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　なお、今回の試乗は筆者にとってあまり土地勘のないエリアで行ったため、試乗車に標準装備されたカーナビを使ってみた。アウディの最新車種には、MMI（マルチメディアセンター）と呼ばれるインフォメーションシステムが搭載されている。このMMI、HDDカーナビだけでなくCD／DVDプレーヤーや、Bluetoothインタフェースを経由した音楽プレーヤーやハンズフリー携帯電話など、さまざまな機能が1つに統合されている。

　操作をダイヤルとボタンで行うため、タッチパネル式の市販カーナビに慣れていると、初めは操作に戸惑うかもしれない。しかし、非常にシンプルで分かりやすいインタフェースで、ガジェットの類に弱い筆者でもすぐに使いこなすことができた。そして何より、初めからコンソールパネルと一体になっているのでデザイン的にすっきりしており、操作系の使い勝手もなかなか優れている。品質とデザインへのこだわりが、こうした細かい所にまで行き届いているのは、さすがドイツ製の高級プロダクトならではだと感じた。

MMI（画像をクリックすると拡大します）