今年も電力不足が懸念されているので、お店ではさまざまな冷却アイテムが販売されている。だが、自分の生活シーンに合ったアイテムはどれなのか? よく分からない人も多いだろう。
医学博士で熱中症予防の専門家でもある横浜国立大学教育の田中英登(たなか・ひでと)教授は、5つの冷却アイテム(アイスバッグ、扇風機、冷却シート、冷却スカーフ、冷却スプレー)を使って効果を検証した。
その結果、熱を下げる効果が最も高かったのは「アイスバッグ」。スポーツの現場ではアイシング用に使われているアイスバックを、熱中症予防に使ってみてはいかがだろうか。このほか、水を含ませて使う「冷却スカーフ」も冷やす効果は高かったが、暑い場所での使用には快適さに劣ったとのこと。また服にふきかけてヒンヤリとさせる「冷却スプレー」は、体感としては冷涼感が続いたが、サーモグラフィー上では熱を下げる効果が見られなかった。
もちろんアイスバッグが良くて、他のアイテムはダメという話ではない。ポイントは「熱中症対策として使う」か「暑さ対策として使う」かである。田中教授も「熱中症対策には体温調節のサポートとなるような“熱を下げる”効果があるモノが必要。それぞれの特徴を知ってほしい」としている。
そこで各アイテムの特徴とオススメシーンをまとめたので、参考にしてほしい。
アイテム | 特徴 | オススメのシーン |
---|---|---|
アイスバッグ | 氷を使って冷やすため、冷却効果、快適性が高い。 氷が必要。 |
温度が高い環境下や暑い外から帰ってきたときなど。 体温調節をサポートするので、熱中症対策に。 |
扇風機 | 気化熱になる体温低下を望める。 暑い環境下では快適性に劣る。 |
高めに設定したクーラーの補助などに活用。 |
冷却シート | 貼るだけの手軽さで、快適性は高い。 暑い環境下では効果の持続が低い。 |
高めの温度に設定された室内など。 暑さ対策に活用。 |
冷却スカーフ | 冷却効果は得やすいが、外気温の影響を受けやすいため、快適性は低め。 | 温度が高い環境下や暑い外から帰ってきたときなど。 体温調節をサポートするので、熱中症対策に。 |
冷却スプレー | 冷涼感が続き、快適性は高い。 ただ熱を下げる効果はないため、熱中症対策には向いていない。 |
通勤時、高めの温度に設定された室内など。 暑さ対策に活用。 |
また熱中症対策として「水分補給」も忘れてはいけない。小松先生によると「水分補給はノドが渇く前に、0.1〜0.2%程度の塩分(市販飲料では100ml当たりナトリウム40〜80mgを含む)を含んだモノをこまめに摂取することが大切」だという。
「まだ夏じゃないし、自分は健康だから大丈夫」――こうした過信は禁物だ。こまめに水分を補給し、効率よく身体を冷やすことで、節電の夏を乗り切ってほしい。
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