「親子がふれあうきっかけに」、トヨタの「カマッテ」はエンジンを載せてもOK!

» 2012年06月19日 12時33分 公開
[朴尚洙,@IT MONOist]
@IT MONOist

 現在、国内市場で人気の自動車といえば、大容量の荷室を持つコンパクトカーやミニバンが主流だ。家族で乗るマイカーといえばセダンタイプが一般的だった時代と比べて、車室内は確実に広くなっている。

Camatte トヨタ自動車のコンセプトカー「カマッテ」。このボディカラーが水色のモデルは「カマッテ そら」と名付けられている

 自動車の中で、家族一人ひとりのスペースが広がって、ゆったりとドライブを楽しめるのはいいことだ。しかし、かつてのように狭い車室内で家族が押し合いへしあいしながら移動するという経験は得られなくなっているかもしれない。

 トヨタ自動車が、玩具見本市の「東京おもちゃショー2012」(2012年6月14〜17日、東京ビッグサイト)に出展した「Camatte(カマッテ)」は、「親子で楽しむクルマ」というコンセプトを基に開発された3人乗りのコンセプトカーである。外形寸法は2100×1300×1200ミリ(全長×全幅×全高)と、自動車としてはかなり小さい。コンセプトカーではあるものの、モーターと鉛電池を搭載しており、実際に走行できる。最高時速は毎時40キロで、満充電からの走行距離は約15キロである。

CamatteCamatte 左の写真は「カマッテ」の車両カバーを開けた状態。右の写真では、カマッテの運転席と右斜め後ろの席に大人2人が乗っている。密着感はかなりのもの

 座席配置は、前方に運転席が1席、運転席の斜め後方に同乗者用の2席という三角配列になっている。各座席間の距離は50センチと狭いが、これには理由がある。カマッテの乗車イメージは、前方の運転席で子供が運転するのを、後席に座る親が見守るというもの。親が前のめりになって、自動車について子供と語り合ったり、運転方法を教えたりできるように、密着感を高めているのだ。右斜め後ろの座席からであれば、ハンドル操作の手助けや、サイドブレーキによる減速、緊急停止ボタンによる停止など、運転の補助も行える。

 運転席のペダルとシート位置は調整可能なので、子供でも大人でも運転できる。なお、子供が運転できるのは、カートレース場など公道以外の場所になる。

CamatteCamatte 「カマッテ」の運転席。メーターは左側が速度計で、右側が電池容量の残量計になっている。ステアリングの右側には、ハザードランプや緊急停止、エンジンスタート(電源オン)のためのスイッチ、前進とバックを選択できるシフトレバーが設置されている。足元には、通常の自動車と同様に、アクセルとブレーキのペダルがある。座席の右わきにある棒状のものはサイドブレーキである

 カマッテの開発責任者を務める同社企業価値創造室 計画開発グループ 主任の辻賢治さんは、「現在主流の広い車室を持つ自動車では得られない、親子の密着感が感じられるように設計した。カマッテに乗ることで、親子で楽しんだり、話して触れ合ったりするきっかけになれば」と語る。

EVである必要はない

 このほかにも、カマッテには親子で楽しむための工夫が盛り込まれている。ボディ外装は、手で回して締めたり緩めたりできるネジで固定されているので、自由に着脱可能である。これにより、ボディ部品を外して、モーターやサスペンションなどの内部の構造を自由に見ることができるので、「クルマいじりの楽しさ」を家族で共有できるという。

 辻さんによれば、「親子で話し合って、『もっと出力がほしい』ということになれば、大出力のモーターやリチウムイオン電池に交換するもこともできる。別段電気自動車(EV)にこだわっているわけではないので、エンジンも搭載できるようにしたいと考えている」という。

 自由に着脱できるボディ外装は、好みの色や形状への「着せ替え」ができる。展示会場では、ボディカラーが水色の「カマッテ そら」と、茶色の「カマッテ だいち」を展示している。

CamatteCamatte 左側の写真は、着せ替え例の「カマッテ だいち」。展示ブースでは、右側の写真のような設備を使って金属加工のデモンストレーションを行っている。イニシャル入りの金属プレートを提供するサービスもある

 カマッテの今後の予定は、「現時点では未定」(辻氏)である。東京おもちゃショー2012の一般公開日である6月16〜17日の両日に行う、来場者アンケートなどの結果を基に決めるという。

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