タフなG-SHOCKの“大敵”は? 山形カシオに潜入した仕事をしたら“静電気とゴミ”がなくなった(3/7 ページ)

» 2012年07月27日 12時10分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

人間の感性に頼る部分も

後藤:カシオの時計といえば、どの時計を想像しますか? このように質問すると、多くの人から「G-SHOCK」という答えをいただきます。この製造ラインでG-SHOCKがつくられているのですが、私たちはG-SHOCKブランドを守らなければいけません。不良品を出さないためにも、なにか嫌な兆候があれば先手を打つようにしています。

土肥:静電気とゴミをできるだけ取り除くようにしたのが、このラインなのですね。

後藤:G-SHOCKが誕生してから、来年で30周年。この間、試行錯誤しながらできたのが、今のラインですね。

G-SHOCK「GW-A1000」がつくられている製造ライン
山形カシオは2005年に「日経ものづくり大賞」、2007年に「ものづくり日本大賞優秀賞」を受賞している

後藤:山形カシオには最新の機械が導入されています。できる限りオートメーション化を図っていますが、機械だけでは限界があるんですよ。そこは人間の感性に頼らざるを得ません。

 例えば、時計の針のズレを検知するために、LEDの光をつかいます。時間・分・秒針をつかさどる3つの歯車に直径300ミクロンの検知穴があるのですが、そこにLEDの光をあてます。その光が下まで届かなければ、どこかの歯車がズレているということ。2枚の穴までは機械でも認識できるのですが、3枚目は人間の目でチェックしなければいけません。

写真左はワッシャー搭載の様子。ワッシャーとは運針精度を保つための商品で、針を取り付ける歯車のシャフトの上部に配置されている。秒針は6度ずつ運針しているが、ワッシャーがなければ運針角度が安定せず、ぎこちない動きになる。写真右はリューズの組み立てライン。G-SHOCK「GW-A1000」では直径9.6ミリの大型リューズを採用しているので、回転時の芯がズレないよう配慮し、リューズとシャフトを調整しながら組み立てている

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