まず試乗したのが、SKYACTIV「ではない」エンジンとトランスミッションを搭載した、旧モデルの「20S」。搭載されるエンジンのスペックは最大出力110キロワット(150馬力)、最大トルク186ニュートンメートルと、SKYACTIVE-G 2.0とほぼ同じ。これに5速ATミッションが組み合わされる。
実際に走らせてみると、アクセル操作による加減速の感覚は、まさにオーソドックスなトルコン式ATの走りそのもの。停止状態から発進のためにアクセルを踏み込むと、ほんの一瞬のタイムラグの後に、トルクコンバータを通じてトルクが一気に湧いてくる。そして巡航速度に達しそうになるちょっと手前でアクセルを緩めてやれば、ちょうどいい具合で加速度合いをコントロールできる。
筆者が普段乗っているクルマが、まさにこのような乗り味であるせいか、アクセル操作にまったく違和感がない。こうしてあらためて書いてみると、実は結構複雑なアクセル操作を行っていることが分かるのだが、ある意味「勝手知ったる」走行感だ。
さて今度は、SKYACTIV搭載モデル「20S-SKYACTIV」に乗り換えてみる。ちなみに、マイナーチェンジによるエクステリアの大きな変更点はない。基本的なデザインコンセプトは現行のデミオやアクセラと同じく、空気の流れを感じさせる流麗なフォルムで、特にフロントオーバーハング部はとてもミニバンとは思えないスマートなデザインに仕上がっている。
またインテリアは、高級感こそあまり感じないものの、黒を基調とした落ち着いた雰囲気で、ドライバーシート周りにはクローム調のパーツがアクセントとして配置されている。着座位置はミニバンだけあって若干高めだが、思っていたほどは高くはなく、あまりミニバンに乗り慣れていない筆者にとってもほとんど違和感はない。
走り出してみると、もう最初の発進から、明らかに非SKYACTIVモデルとは違うことがはっきり体感できる。アクセル操作と車速の関係が「正比例」に近いイメージというか、いわゆる「リニア」な反応が得られるのだ。旧来のAT車の、一呼吸置いてからトルクが盛り上がってくる感覚というのがなく、停止状態からでもアクセルを踏めば踏んだだけ、スルスルと車が素直に動き出す。これは車速が乗った状態からでも同様で、どのエンジン回転域からでも、踏めば踏んだ分だけリニアに加速していく。またATトランスミッションにしては、エンジンブレーキもある程度効いてくれるように感じる。
このリニア感は恐らく、SKYACTIVE-G 2.0の素直な出力特性と、SCYACTIV-DRIVEのロスの少ない動力伝達によって実現されているものなのだろうが、一度慣れてしまうと非常に運転しやすい。ドライバーの加減速の意思が、即座にアクセルペダルを介して反映されるので、車の動力性能の癖のようなものに一切気を遣う必要がない。
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