定刻の20時50分にゲートを離れたSQ011便は、それから15分後に成田空港を飛び立った。やがて水平飛行に移ると、一人ひとりに冷たいドリンクとシンガポール航空の名物であるサテーが用意される。食欲が増進したあとは、いよいよミールのサービスだ。
シンガポール航空は機内で提供する「食」についても早くから強いこだわりを持ち、世界各地で名声を得ている著名なシェフたちに協力を要請。そうして結成されたのが各国の一流シェフ9名からなる「ICP(インターナショナル・カリナリー・パネル=国際料理委員会)」だ。機内で提供される食事のメニューの考案を、すべて彼らが担当している。そのメンバーの一人に名を連ねるのが、京懐石の老舗料亭『菊乃井』のオーナーシェフ、村田吉弘氏である。私は迷わず村田氏の手による懐石料理「花恋暦」をオーダーし、メニューリストを見ながらワインを選んだ。
少しずつでいいから、いろんな種類の料理を味わいたい。「花恋暦」はそんな要望を満たしてくれるメニューである。先付、酢の物、麺などの「一の重」と、焼物、八寸、炊き合わせなどの「二の重」に分かれ、留椀、御飯、水菓子も添えられる。どの料理にもオイル、バター、クリームなどは使われていないので、深夜の食事でも胃に負担がかからないのがいい。
チャンギ空港到着まではまだ5時間ほどある。ワインとともに「花恋暦」をゆっくり楽しむことにしよう。それから映画を観てひと眠りすれば、到着の時間を迎えるはずだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング