シンガポール航空の客室乗務員たちが提供する機内サービスのレベルの高さには、もともと定評がある。シンガポール航空と聞くと、民族衣装サロンケバヤを身にまとった彼女たちを真っ先に思い浮かべる人も少なくない。
A380には1機あたり平均23名の客室乗務員が乗務し、ビジネスクラスでは乗客7〜8人ごとに担当乗務員1人がつく。彼女たちの立ち振る舞いは、じつに優雅だ。その動作の一つひとつに、訓練が行き届いていることを実感する。彼女たちは客室乗務員として採用されると、約4カ月(15週間)の新人トレーニングを受ける。トレーニング期間は他社に比べてかなり長い。その理由をベテラントレーナーの一人は「シンガポール航空はサービスの内容が多いですから」と話していた。
ノドがかわいたとき、あるいは到着地の空港での手続きなどで聞きたいことがあるとき、コールボタンを押して乗務員を呼ぼうかどうか迷っていると、彼女たちは必ずといっていいほど通路を通りかかってくれる。そうした対応はマニュアルではできない。“パーソナルタッチ”のサービスが身についているからこそ可能になるのだろう。
SQ011便は夜明け前の午前3時過ぎに、シンガポール・チャンギ国際空港に到着した。6、7時間の長旅を終えたあとは、通常はホッとため息ついている人が多いのに、キャビンの乗客たちにやつれた表情が見当たらない。私のすぐうしろの席の乗客からは「降りるのがもったいない感じだね」といった会話が聞こえてきた。
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