クアラルンプール中央駅を朝9時に出発するシンガポール行きのマレー鉄道に乗るため、航空写真家のチャーリィ古庄氏と2人で7時半過ぎにホテルを出た。マレー鉄道で旅しようか。彼とのそんな意見がまとまったのは、羽田から乗ったエアアジアXの機内でのことだ。しかし仕事の都合で、現地で自由に使える時間はわずか1日しかない。私たちはクアラルンプールから日帰りでの旅が可能な世界遺産の街、マラッカを目指した。
朝の渋滞を何とかすり抜けて8時15分に駅に到着し、さっそくチケット売り場へ。長距離路線にはセカンドクラスとファーストクラスがある。当日では無理だと思ったものの、窓口で聞いてみたら「ファーストクラスもまだ若干の残りがあります」と係員に言われ、2人分のチケットを購入する。
車両は、セカンドクラスが通路をはさんで2席ずつ、ファースクラスは通路をはさんで1席と2席を配置している。「旅は優雅にいかないとね」と古庄氏と2人、うきうきしながらチケットに表記された「S4」の車両を探し、先に古庄氏が列車内へ。しかし入った瞬間、彼は立ち止まり、そして口から出た言葉が「う、ボロッ!」だった。
シートはすり切れ、窓も水アカで曇っている。「これじゃあ、車窓からの風景撮影は無理ですね」と古庄氏が言うように、清掃を途中で放棄したのかと思わせるくらい窓ガラスが汚れている。前席の背もたれにある物入れのポケットは金具が外れてぐらついているし、その下のレッグレストも足を乗せると軋み音が響いた。
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