出発後しばらくして、古庄氏は「連結部で車窓の風景が撮れるかどうか見てきます」と席を立ち、15分ほどして帰ってきて私に「秋本さんも行ってみてください。連結部の金属の摩擦音がものすごいうるさく、トイレは昔の列車のような下への垂れ流し方式。おまけにガタガタ揺れっ放しで、撮影どころじゃありません」と報告した。
私も実際に行ってみた。確かに彼の言うとおり。もう何十年も使い込まれた車両に、長年の歴史を感じざるを得ない。そんな列車に揺られながら、しかし古庄氏と私はしばらくして同時にこんな感想を呟いた。
「マレー鉄道──いいねえ、なかなか」
もともと乗り物好きの2人だから、歴史を感じさせるすべてを受け入れることができたのだろう。クアラルンプールを出発して2時間15分。私たちが乗ったマレー鉄道は、タンピンという駅に着いた。残念ながら、今回のマレー鉄道の旅はここまでだ。日帰りでクアラルンプールに戻らなければならない。そのためタンピンまでのチケットしか買っていない私たちは、駅のホームで列車を見送り、ここからはタクシーで1時間ほどかけて世界遺産の街マラッカへ向かうことになる。
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