──私もこの(2013年の)3月に、2年半ぶりで南アフリカを旅してきました。今回はローカルな村々を中心にまわってきたのですが、私が南アへ行くという話をすると、まだまだ「動物に会いにいくの?」と聞いてくる人たちが少なくありません。
ブラウワーさん: サファリはもちろん、非常に人気の高い、南アフリカ観光の魅力の一つです。今後も大々的にプロモートしていくという方針に変わりはありません。ですが一方で、日本のみなさんは動物だけでなく、南アフリカの多様な文化にも興味や魅力を感じはじめていただいていることを感じています。毎年春に開催されるアフリカ大陸最大の旅行見本市「インダバ(INDABA)」でも、2013年は「ヘリテージ&カルチャー」をテーマに文化と伝統にフォーカスを当て、南アフリカのさらなる魅力をアピールしました。
──日本から南アへの旅行者が右肩上がりで伸びているなかで、これからはサファリツアー以外の目的で南アを旅する人も実際に増えそうですか?
ブラウワーさん: そう思います。その最初のアクションとして、まずは旅行業界の方々が日本と南アフリカの文化の違いに興味を持ち始めてくれています。先月来日した際も、私は旅行業界の関係者からたくさん質問を受けました。
例えば「南アフリカの大統領は奥さんが7人いると聞きましたが、本当ですか?」と。「本当です」と私が答えると、みなさん目を丸くして驚きます。「公用語としての言語が11あるとうかがっていますが、それも本当?」という質問に、「本当です」と私。パスポートの申請もローンの申し込みも、南アフリカではすべて11の言語で可能なんです。そういうことを伝えるとみなさん、びっくりされますよ。
また、日本の人たちはとても礼儀正しく、尊敬の念をもって人々に接しますでしょう。対照的に、南アフリカの人たちはとにかくフレンドリーで、情熱的。そういう国民性の違いや文化の多様性に多くの人たちが興味をもち、新しい旅のテーマに据えていこうと考え始めていることを実感します。
──テーマ性をもった旅行、というのは、これからの大きな流れになるかもしれませんね。
ブラウワーさん: これまでの日本人の方々の旅行は、現地に出かけていって、大人しく観察するという種類のものが大きな割合を占めていたように思います。しかし今後は、大人しく観察するというより、みずからがかかわって体験するという参加型の旅行のニーズが高まるでしょう。そういう観点で言っても、南アフリカはまだまだ潜在的な魅力にあふれているし、新しい体験型の旅行をさまざまな形で提供していけると考えています。
──米国や欧州、オセアニアなどへ旅行したことのある日本人は、もうかなり増えました。そういう人たちがもっと刺激的な新しい体験を求め始めている、というのは私も事実だと思います。
ブラウワーさん: そういう選択肢の中で、2010年のサッカー ワールドカップを機に治安の面での不安も解消され、また空港や高速鉄道をはじめさまざまなインフラが整備されて旅行先として安心して選んでもらえるようになりました。もともとアパルトヘイトの歴史もあり、この国はどうなってしまうんだという疑問の目で見ていた人たちの多くが、南アフリカをユニークな国として認知してくれ始めています。
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