サファリだけじゃない、南アフリカへの日本人観光客が増えている秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(3/4 ページ)

» 2013年05月31日 08時00分 公開
[秋本俊二,Business Media 誠]

ドアに鍵もかけず生活している人たち

──ひと言で南アフリカといっても、本当にさまざまな表情を持っている国ですよね。

ブラウワーさん: おっしゃるとおりで、都会と大自然を、まさに背中合わせに楽しめる国だと思うんですよ。大都会で楽しんで、そこからクルマをわずか1時間走らせるだけでまるで別世界のような景色が広がり、大自然の中に身を置くことができます。

──ところが一般の旅行者には、相変わらず都市部のイメージが強いのか、私のもとにもよく「治安は大丈夫なの?」という質問が届きます。それに対してこれまでは明確には答えられなかったのですが、今回の旅でローカルな村々を訪ね歩き、私自身もイメージが変わりました。

ブラウワーさん: どんなふうに変わりましたか?

──それこそクルマで1時間行くだけで、ドアに鍵もかけないで生活している人たちの暮らしに出会えることを知りました。みんなフレンドリーで、私みたいな外国からいきなり訪ねてきた人間も警戒感を持たずに歓迎してくれます。そういう、旅行者がこれまで接してこなかった一面にもみずからが触れて体験することで、治安面に不安を抱く声なども自然に消えていくだろうと私は思います。その意味で、ローカルな村での体験などをツアーに取り入れた旅行商品が販売されるようになるといいなと思うのですが。

ブラウワーさん: その意見には私も100%賛成です。旅行会社の商品にそういう体験が組み込まれれば、本当に素晴らしいですね。欧米ではそんなツアーがすでにいくつかありますが、日本の市場ではなかなか急にはできません。地道にプロモーション活動を続けながら、一歩一歩進めていきたいと思います。

飛行機と空と旅 東ケープ州イーストロンドンの郊外に広がる豊かな自然に包まれた村々

6万人市場になれば直行便の就航も

──南アフリカというと、日本人の間では「遠い」というイメージもあります。

飛行機と空と旅 日本から直行便はなく、香港から南アフリカ航空でヨハネスブルグへ(撮影・チャーリィ古庄)

ブラウワーさん: 実際に遠いですからね(笑)。それでも足を運んでくれた方々は、みなさん大きな笑顔をお土産に帰ってきてくれます。貴重な、素晴らしい体験ができたと感想を話してくれる人も少なくありません。人と人との直接の出会いを通じて、心をつなげていく。それをどんどん広げていく取り組みを、今後も続けていきたいですね。

──あとはやはり、アクセス面の強化ですね。日本からの直行便が開設されると、そうした交流ももっともっと進むはずですから。

ブラウワーさん: 2つのマーケットをつなぐという意味で、エアラインのリンクはとても重要です。直行便がないというのは旅行者の選択肢としてはマイナスですが、南アフリカのフラッグキャリアである南アフリカ航空がスターアライアンスのメンバーになり、同じチームのANAとの共同運航便を活用できるようになりました。いまは日本から南アフリカへのチケットが手軽に買えますし、成田で荷物を預ければ、そのままヨハネスブルグまでスルーで運ばれて身軽に移動できます。これは大きな前進ですよ。

 2012年は日本から南アフリカを訪れる人の数が非常に顕著な伸びを示しましたが、今後年間で6万人くらいまで市場が拡大すれば、現状あるエアのアクセス手段だけではもう需要を満たせません。必然的にチャーター便とか、直行便の就航も視野に入ってくると思います。

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