サファリだけじゃない、南アフリカへの日本人観光客が増えている秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(1/4 ページ)

» 2013年05月31日 08時00分 公開
[秋本俊二,Business Media 誠]

 旅行先としての南アフリカが、にわかに脚光を浴びている。2012年(1〜12月)の南アへの年間渡航者数は、前年より10.2%増えて918万8368人を記録。国連世界観光機関(UNWTO)が見込む2012年の全世界の旅行者増加率は約4%だから、南アへの渡航者数は世界平均の2倍以上も伸びた計算だ。なかでも日本からは、2012年は前年比で30.9%増え、3万4415人と過去最多記録を更新した。

 各月別でみると、現時点で集計を終えている2013年1月まで、南アへの日本人旅行者は前年同月実績を16カ月連続で上回っている。とくに南アでサッカー ワールドカップが開催されて以降は、観光市場としての成長が著しい。ワールドカップという世界的なイベントの成功が観光誘致に結びついたのだろうか? 南アは決して近いデスティネーションではないが、日本から直行便がないというハンデをどう克服しているのか? そしてズバリ、旅行先としての南アの魅力は?

 来日した南アフリカ観光局のアジアパシフィック地区リージョナル・マネージャー、ブラッドリー・ブラウワーさんに話を聞いた。

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サッカー ワールドカップの成功で認知度アップ

──日本人旅行者の間で南アフリカの人気が高まっているようです。とくにサッカー ワールドカップが開催された翌年(2011年)の秋以降は、南アへの毎月の渡航者数が前年同月比で16カ月連続で増えていると発表されました。やはりワールドカップの成功はひとつのきっかけになっているのでしょうか?

飛行機と空と旅 南ア観光局の日本オフィスでブラウワーさんにインタビュー

ブラウワーさん: そうでしょうね。ワールドカップの開催前は、日本をはじめ世界で「本当に南アフリカでワールドカップが開催できるの?」とか「スタジアムの建設は間に合うの?」「治安は大丈夫?」といった不安視の声が圧倒的でした。私も実際、会う人、会う人に同じことを聞かれましたよ。でもいまは、治安面について質問されることはほとんどありません。ワールドカップの成功は、南アフリカの認知度を高め、南アフリカの魅力を浸透させることにつながっていることは間違いないでしょう。

 またもう一つ、日本では2011年3月に東日本大震災が起こり、レスキューSAという世界中で救援活動を展開している南アフリカのNGOが震災直後の早い段階で派遣され活動を進めました。そのことも、日本のみなさんが南アフリカへの親近感を高めてくれる大きなきっかけになったかもしれません。

──レスキューSAの東北での活動は多くのメディアでも報道されました。

ブラウワーさん: はい。困難な状況の中で救援に来てくれたということで、それまで南アフリカのことをよく知らなかった年配の方々も含め、現地の多くの人たちから感謝されました。震災はとても悲しい出来事でしたが、このことをきっかけに両国の心のつながりがより強固になったと思います。南アフリカにも「ウブントゥ」という、日本でいう「絆」に近い言葉があって、助け合いの精神をとても大切にする国民性なんですよ。

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