2013年のバーゼルワールドで、シチズン時計は2つの「フラッグシップモデル」を発表した。1つは、衛星からの電波を受信して常に正確な時刻を刻み続ける「シチズン プロマスター エコ・ドライブ サテライト ウエーブ エア」(参考記事)。
そしてもう1つが、「プロマスター」シリーズの名作「アルティクロン」の名前が復活した「シチズン プロマスター エコ・ドライブ アルティクロン シーラス」だ。
1989年のプロマスター誕生時の代表的なモデルの1つ「アルティクロン」は、正確な高度計を備えたアウトドアウオッチとして根強い人気があったものの、動力のエコ・ドライブ化によって一時的にラインアップから外れていた。
シチズンの技術革新によって復活したアルティクロンは、高度1万メートルから海抜マイナス300メートルまでの深度を、3本のアナログ針を使って表示する。また、新たに電子コンパスも搭載した。
2013年9月発売のサテライト ウエーブ エア、そして2014年春発売のアルティクロン シーラスのデザイナーを務めた井上英樹さんに話を聞いた。
――新作「アルティクロン シーラス」のポイントを教えてください
井上さん: 一番のポイントは、高度計で1万メートルまで計測できることですね。高度計と電子コンパスの両方を搭載するのはエコ・ドライブでは初めてなんですが、1万メートルまで計測できるということで、「上空1万メートルの世界」をデザインに落とし込めないかというのが頭の中にありました。
1万メートル上空の何を取り入れるか。景色だったり、自然現象だったり、そういうものがあるのではないかと考えました。商品名にも入れた「シーラス」は1万メートル付近にできる巻雲のことです。しらす雲とも呼ばれるそうで、いくつか種類があるのですが、うすく、さざなみのように広がる雲です。
――しらす雲の形をデザインに取り込んでいるのでしょうか?
井上さん: 雲の形そのものではなく、その薄く浮いた感じというものを透明な文字盤や時字に表現しています。あえて文字盤をすり鉢状にしたのは、上下に高低差を付けて、浮遊感の中にも雲が層になって重なりあっている様子をイメージしたからです。
――バーゼルで発表した2つの新作のコンセプトは、どちらも「宇宙」や「空」、「翼」といったものでした。デザインの途中でコンセプトが交ざったりしなかったのですか?
井上さん: それはなかったですね。サテライト ウエーブ エアは、最初のモデルの「宇宙」「地球」「衛星」というモチーフを引き継いでいますし、屋外でないと衛星信号を受信できませんので、「大空」「オープンエア」というコンセプトになりました。
一方、シーラスは、デザインの始まりから「上空1万メートルの空」、その景色から生まれています。今回のバーゼルでは、たまたま「空」と「空」になったかなあという感じですね(笑)
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