空から、陸から、オーストラリア大陸をダイナミックに旅する秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(2/9 ページ)

» 2013年06月19日 08時00分 公開
[秋本俊二,Business Media 誠]

ゴールドクラスの優雅な空間

飛行機と空と旅 ビクトリア調のソファが配置されたゴールドクラス・キャビン

 エンジと白に塗り分けられた歴史ある木造列車は、標高328メートルのキュランダ駅をめざしてゆっくりと力強く登っていく。私たちの乗っている車両は2006年6月からサービスが開始された「ゴールドクラス」だ。特別仕様のこの車両は、深みのあるヘリテージグリーンの外観と真ちゅうのプレートが特徴で、キャビンにはビクトリア調のソファシートが配置されている。くつろいだ雰囲気の中で、スパークリングワインや冷えたビールと軽食を味わいながら眺める雄大な自然。ちょっと贅沢することで旅の思い出がさらに深まると考え、私たちはこのクラスを予約した。

 列車は途中、サトウキビ畑を抜け、いくつものトンネルを通過してゆく。世界遺産に指定されている熱帯雨林やストーニークリークの滝、バロン渓谷などの絶景ポイントにさしかかると、車内に英語で説明が流れた。バロン滝駅では10分間ほど停車し、展望台にもなっているプラットフォームからカメラを向けている観光客も多い。水かさが増す雨期には、岩に叩きつけられる水しぶきが駅にまで届き、迫力十分だ。

飛行機と空と旅 終点キュランダ駅までの37キロの道のりに計98ものカーブがある

「すみません、シャッターを押していただけますか?」

 英語のみならず、さまざまな言語で乗客同士のそんなやりとりが飛び交っている。若者から年配の人まで、やはりカップルが多い。バロン滝駅での休憩を終えて再び走り始めた列車は、午前10時25分に終点のキュランダ駅に到着した。トロピカルな環境に囲まれた駅舎の前で、再びカメラを取り出す人々。ここはおそらく、世界で最も写真に撮られることの多い鉄道駅であるに違いない。

飛行機と空と旅 バロン滝駅では10分ほど停車。プラットフォームは展望台にもなっている

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