空から、陸から、オーストラリア大陸をダイナミックに旅する秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(6/9 ページ)

» 2013年06月19日 08時00分 公開
[秋本俊二,Business Media 誠]

内陸部を開拓したラクダ調査隊

飛行機と空と旅 時間が経つにつれて外の景色が変化。その移り変わりに豪大陸の大きさを実感

 ところで、そもそも「ザ・ガン」とはどういう意味なのか? 車内でトレインマネージャーに聞くと、彼はていねいにその歴史を説明してくれた。

 英国人がオーストラリア大陸に入植し、沿岸部の探査を終えて人々の目が内陸部へ向けられ始めた時代に話はさかのぼる。内陸への開拓が少しずつ進展すると、やがて調査隊の前に立ちはだかったのが赤茶けた砂漠の大地だった。それから先は、調査も思うように進まない。そこで取られた手段が、さらに奥深くに分け入るためのラクダの輸入だった。アフガニスタンを中心に、海外から何頭ものラクダが到着。それとともにラクダの使い手として多くのアフガニスタン人がこの地にやってきた。

飛行機と空と旅 アリススプリングス駅のホームにあるラクダの彫像
飛行機と空と旅 豪華な食事を摂りながらの列車旅は世界中の鉄道ファンの憧れの存在だ

 アフガニスタン人が率いるラクダの隊列により、オーストラリア内陸部の姿は入植者たちの目にも少しずつ明らかになっていった。そうして開拓したルートに沿って敷設された線路に1929年8月、アデレードから「アフガン・エクスプレス」と命名された列車が走り始めたのだ。アフガン・エクスプレスは、のちに「アフガン」の「ガン」をとって「ザ・ガン」という名前に変わり、現在はオーストラリア大陸約3000キロを縦断する豪華列車として世界中の鉄道ファンの憧れの存在になった。

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