【緊急寄稿】「離着陸時もスマホ使用を許可」の背景は?秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(2/3 ページ)

» 2013年11月02日 23時30分 公開
[秋本俊二,Business Media 誠]

本当に危険ならなぜ持ち込みを制限しない?

 2004年1月に施行された「改正航空法」では、トイレでの喫煙や乗務員の保安業務に支障をきたすようなセクハラ行為などとともに、離着陸時の携帯電話使用も厳しく罰せられるようになった。そこには「機長の命令に従わない迷惑行為者には50万円以下の罰金を課す」という内容が盛り込まれ、前述したように2007年6月には携帯使用による初の逮捕者も出ている。

 航空法違反(安全阻害行為)の容疑で逮捕されたのは、神奈川県に住む34歳の男性だ。事件があったのは2007年3月10日。羽田発宮崎行きANA609便の機内で携帯電話を使用していた男性に、客室乗務員が再三にわたって注意したという。その後、機長から「禁止命令」が出されたにもかかわらず、男性は電源を切ろうとしない。滑走路に向かっていた同機は引き返して男性を降ろし、約30分遅れで離陸。男性は空港署に通報され、その3カ月後に逮捕されるに至った。

 しかしこの事件がきっかけで、一部の利用者の間で疑問の声が出始めた。逮捕しなければならないほど機内での携帯使用が危険な行為なら、そもそもなぜ持ち込みを許可するのか? そんな疑問だ。機内への持ち込み手荷物はセキュリティチェックの際にX線検査装置にかけられ、ナイフやハサミなどの刃物類や花火などの爆発物が入っていれば、すべて「危険物」と見なされて没収される。それなのに、運航に支障をきたす恐れのある携帯電話はどうして持ち込みを制限しないのか?

 考えてみれば、もっともな疑問だと思う。離陸前に客室乗務員が乗客の間を歩きまわり、携帯電話の電源を切るよう指示は出す。しかし、世界中の空では何万便という旅客機が毎日飛んでいて、キャビンの中にはうっかり電源をオフにし忘れた携帯電話がいくらでも存在するだろう。携帯の電波が航空機の航行システムにトラブルをおよぼすと言っておきながら、それを放置している現状に不安や不満を抱く人たちの気持ちも分からなくはない。

 「本当に危険なら、電源を切るよう口頭で注意するだけでは不十分。銃やナイフなどのように持ち込みを禁止するのがふつうではないか」と言う人もいる。「携帯電話と航空機の機器類とでは使用する電波の周波数が異なり、飛行中に電波干渉が起きることは実際に証明されているわけではないという専門家の話も聞きました。そのへんのところ、実際はどうなのでしょうか」

飛行機と空と旅 ノートPCなども従来は高度1万メートル未満の機内での使用は禁止されていた

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