JALに利用者が戻り始めている。発表された2012年度の旅客輸送実績を見ると、国際線が対前年比9.9%増の752万5038人となり、8年ぶりにプラスに。ビジネス需要が好調で、東南アジア線(20.6%増)や米国を中心とする太平洋線(8.8%増)の旅客数が大きく伸びた。一方の国内線も同3.6%増の3002万440人と、6年ぶりに増加に転じている。
2013年に入ってからも、「1クラス上の最高品質」をテーマに居住性・機能性を進化させた新キャビン「スカイスイート777」を搭載したボーイング777-300ERが1月に就航し、話題を集めている。そうしたプロダクトのグレードアップもさることながら、新生JALの躍進に重要な役割を果たしてきたのが、サービスの最前線に立つCA(客室乗務員)たちだ。「選ばれるエアライン」を目指し、彼女たちはJALらしい「和のもてなし」を推進してきた。
雲の上の“現場”では、どんな人たちがサービスに当たっているのか? 一人ひとりは何を心がけ、それを実践するために日々どんな訓練を重ねているか? そしてズバリ、JALのサービスの極意は? 最高峰であるファーストクラスを担当する現役CA、秋澤麻由さんに話を聞いた。
──入社は2004年ということですが、学生時代からこの仕事を目指していたんですか?
秋澤: じつは第一志望ではなかったんですよ。本当はマスコミが志望で、アルバイトでも接客業に就いたことがなかった。ただ、母が「小さいときにスチュワーデスになりたかった」と話していたことが頭に残っていて、それで試しに受験だけでもしてみようと思い立ちました。飛行機はよく利用していましたし、旅行も好きだったので、憧れの業界の一つではありましたけど。
──訓練にはすんなり入っていけました?
秋澤: 最初は戸惑いましたね。接客業の経験もないし、お客さまの前に出るというのがどういうことか、よく分かっていなかったように思います。教官には、ときどき表情のことを言われました。「あなたの不安そうな表情がお客さまを不安にさせる」と。新人訓練を終えてOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)に入り、教官が言っていたことがすごくよく理解できました。
──実際の乗務に就き始めて、最初は緊張の連続だったでしょうが、いつごろからこの仕事が楽しいと思えるように?
秋澤: 心から「楽しい」と思うようになったのは、ファーストクラスの担当になってからですね。5年くらいかかっています。それまでは、自分の課題を克服するのに精いっぱいで、無我夢中でした。仕事の場面場面ではもちろん、お客さまとコミュニケーションをとり、楽しい思い出もいっぱいあります。ですが自分で本当に自信をもってお客さまの前に出られるようになるまでには、時間がかかりましたね。
──目標にしていたのは、やはりファーストクラス担当になることですか?
秋澤: はい。入社当時から目標はそこに。同期の仲間たちとも「ファーストクラスの乗務に就けるようになるまで頑張ろうね」って、いつも話し合っていました。先輩や教官からも、ファーストクラスでサービスするという経験の素晴らしさについて、ずっと聞いていましたから。
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