サーブ340Bはわずかな滑走で機首をぐいっと持ち上げ、高度5000メートル程度まで上昇する。水平飛行に移ったところで、同行のカメラマンが機窓から海の写真を撮ろうとカメラを取り出そうとしたら、CAのアナウンスが流れてきた。
「当機はまもなく着陸します。これより先、すべての電子機器の電源をお切りください」
実際の飛行時間はわずか10分程度だ。カメラマンは「これじゃあデジカメは使えないですね。フィルムでの撮影に切り替えます」と、到着した空港ターミナルのお土産屋でレンズ付きフィルム「写ルンです」を何個も買い込んでいた。
島から島へぴょんぴょんと飛び移っていくアイランドホッピング・フライトを、私たちは初日に6回、2日目は沖永良部島や与論島なども目的地に加えて朝から8回繰り返した。東京や大阪からのアクセス便を含めると、1泊2日で実に16フライト。そんな体験ができるツアーを、JALパックが2年ほど前に商品化した(参照リンク)。同じルートの単純往復も含め、ひたすら飛行機に乗るだけなのに、ファンの間では人気が高い。販売サイトでは「観光の時間はありません」と念を押している。
「ツアー参加者には、マイルやポイントを一気に稼ぎたいというお客さまが多いですね」と話していたのは、初日のフライトに乗務していたCAの田中京子さんだ。「20代から40代が中心で、ほとんどの方が男性の一人旅。みなさん、黙々と乗り続けているので、つい『頑張ってくださいね』と声をかけたくなります」
2回目のフライトを終えるころにはCAも顔を覚えてくれて、機内で迎えるときのあいさつも「お帰りなさい」「お待ちしていました」に変わっていた。
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