「時は金なり」を映画にしたら、どうしてこうなった!?――『TIME/タイム』:あの映画ざっくりレビュー
2月17日公開の映画『TIME/タイム』。いろいろ突っ込み不足で中途半端、アマンダ・セイフライドちゃんが可愛い!だけで終わっちゃう。
『TIME/タイム』はざっくりいうと、時間を通貨として流通させることにした社会では貧乏人は早死にするよ、でもそれって酷くね? っていう話。
誰もが25歳で成長が止まる世界、人々は腕に刻まれた寿命=時間が尽きれば死ぬ……。そんな設定に、遺伝子操作とかバイオテクノロジーでサイエンスな話なの? と思ったらどっこい、その「時間」を通貨として流通させるという経済システムを導入したことで、経済と金融の話になっている……ように見えて、その辺もなんだか突っ込み不足で中途半端な映画。
主人公がその社会システムの暗部に切り込む壮大な話になるかと思いきや、ただの時間銀行強盗の義賊になっただけだった。時間=通過の価値が暴落したらその社会はどうなるの? ってところまでは描かずにアマンダ・セイフライドちゃんが可愛い! だけで終わっちゃう。ありがちなストーリーを変化球な世界設定で楽しむB級アクションムービー。
この映画の中で文字どおり人々は「命を削って」生きているのだけれど、残り寿命が1〜2時間のところで熟睡しちゃえば、眠ったまま目が覚めないで死ぬっていう楽な自殺ができちゃうので、このシステムは日本に導入しないでほしいかな〜と思いました。
あらすじ
成長が25歳で止まり、時間が通貨として流通する近未来。人々は腕のボディ・クロックに刻まれた「時間」でものを買い、賃金を貰い、個人間で時間の貸し借りもする。スラムゾーンのウィルは常に残り時間1日ほどの日常の中、母と2人で暮らしている。ある日、バーでボディ・クロックが100年以上もある男、ハミルトンを助け、彼の膨大な時間を譲り受けるが、その日、わずか1秒の時間が足りずに母を失う。
ハミルトンから「この世界は誰が何のために作ったのか?」と問われたウィルは富裕ゾーンへ乗り込んでいき、富豪の娘、シルビアと出会う。終わりのない日常に退屈していたシルビアはスラムゾーンから来たウィルに刺激を求める。しかしそのころ、ウィルにはハミルトン殺しの容疑がかけられ、時間監視員=タイム・キーパーが彼の行方を追っていた。
櫻井輪子(さくらい・わこ)
映画好きが高じて、コラムを書いたりもするイラストレーター。『WOWOWマガジン』『問題小説』『てぃんくる』などでイラストコラムを執筆。『Tokai Walker』の金子裕子さんのコラム「セレブ診療所」にコマ漫画を付けている。過去には『DVD&ビデオでーた』でビデオレビューのイラストコラム、『DVDでーた』で記者会見をレポするコラム『現場から櫻井輪子でした』を連載。
著書に『「へのへのもへじ」から始める 世界一カンタン! イラスト練習帳』がある。公式サイト「SakuraiWako'sめカラうりぼう」。
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