映画になっても好きな女の子の前で右往左往する「サブカルくそ野郎」――モテキ:あの映画ざっくりレビュー
9月23日公開の映画『モテキ』。ドラマ版で4人の女子に揉まれたはずの藤本くんだが、あまり成長は見られず、今回も女子の手のひらで転がされ状態。
『モテキ』はざっくりいうと、セカンド童貞で寂しい生活を送ってた「サブカルくそ野郎」のまわりに再び女のコが寄って来て、本命はこのコだけど彼氏いるし、年上の重い女は趣味合わないし、どうすんの? どうしよう、俺!っていうどこまでも自意識の高い男のコの恋愛話。
ドラマ版も好評だった『モテキ』がオリジナルストーリーで映画になった!
ドラマ版で4人の女子に揉まれたはずの藤本くんだが、あまり成長は見られず今回も前回同様、女子の手のひらで転がされ状態。キャバ嬢の愛ちゃんに「それってー、結局今までと同じじゃないですかあ?」と言われても反省の色なしで、どこまでも自分に都合のいい妄想で突っ走る。今回のメインターゲットは、巨乳美脚で趣味がばっちり合うサブカル系女子みゆきちゃん。恋の予感に舞い上がってパフュームとともに踊りだすシーンは爆笑必至。相手が目の前にいる時は理屈で考えすぎる藤本くんが1人のときには妄想超特急になるのがたまらなく笑える。そして藤本くんが初めて出会う“女藤本くん”るみ子さんの「重い女」っぷりには笑いつつ泣けてくる。
音楽の使い方だとか、ロケをする街が下北だとか、ナタリー編集部や藤本くんの部屋の小道具、ツイッターやiPhoneの使い方、本人役でカメオ出演する有名人などなど、細かく細かくツボを押さえてくる。この映画がツボにハマる人は少なからず「サブカルくそ野郎」なので、藤本くんの一挙一動に笑いつつちょっとイタタタな映画です。
あらすじ
20代と30代の狭間に訪れたモテキをものに出来ず、TENGAが恋人の生活を送っていた藤本幸世31歳。サブカル系情報発信サイト「ナタリー」の編集部に就職が決まり、新米記者として忙しい生活を送りはじめる。ある日、ツイッターで初めてリプをくれた趣味の合う「男」と飲みに行く約束をする。が、待ち合わせの場所に現れたのは笑顔の魅力的なみゆきちゃんだった。彼氏がいる、と言いながら朝まで一緒に過ごしたみゆきちゃんとの恋の予感に舞い上がる藤本くん。彼の前には、辛辣な意見を投げつけるシングルマザーのキャバ嬢愛ちゃん、みゆきの親友で重めな女るみ子さん、みゆきの恋人で既婚者で年収は藤本くんの三倍以上(たぶん)の山下ダイスケ、などなど妄想恋路を挫く強敵が次々と現れる。果たして藤本くんは、2度目のモテキをものにできるのか?!
櫻井輪子(さくらい・わこ)
映画好きが高じて、コラムを書いたりもするイラストレーター。『WOWOWマガジン』『問題小説』『てぃんくる』などでイラストコラムを執筆。『Tokai Walker』の金子裕子さんのコラム「セレブ診療所」にコマ漫画を付けている。過去には『DVD&ビデオでーた』でビデオレビューのイラストコラム、『DVDでーた』で記者会見をレポするコラム『現場から櫻井輪子でした』を連載。
著書に『「へのへのもへじ」から始める 世界一カンタン! イラスト練習帳』がある。公式サイト「SakuraiWako'sめカラうりぼう」。
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