日産の自律運転車、PC10台分の処理装置で実現――2015年実用化目指す(2/2 ページ)
日産自動車が「CEATEC JAPAN 2012」で公開した自律運転機能を搭載する電気自動車(EV)「NSC-2015」。周辺認識と車両制御を行うために、PC10台分に相当する処理装置を搭載している。
自動運転と自動駐車はEVならではの機能
NSC-2015の最大の特徴は、自動運転と自動駐車であろう。これらの機能を実現しているのが、Smart Accessが提供する目的地の敷地内や駐車場内の地図情報、駐車場の満空情報や空きスペース情報、そして4個の車載カメラで車両周辺の映像を映し出す「アラウンドビューモニター」である。NSC-2015のアラウンドビューモニターは、「エルグランド」などに搭載されている現行システムの4倍以上となる130万画素の車載カメラを用いている。
ただし、アラウンドビューモニターを搭載するだけでは、車両周辺の映像を取得できるだけにすぎない。NSC-2015が自動運転や自動駐車を行うには、目的地の敷地内や駐車場内の地図情報と、車両周辺の映像から抽出した白線などの情報を統合して自車位置を認識し、その自車位置から目的地や駐車スペースまで走行するためのステアリングやアクセル、ブレーキなどの制御を行うための処理装置が必要になる。
日産自動車の担当者によれば、「NSC-2015には、PC10台分に相当する処理能力を持つ装置を搭載している。現時点では大型の処理装置だが、2015年には半導体技術の進化により1チップ化できるのではなかろうか」という。
NSC-2015は、LTEによる高速通信も特徴の1つになっている。この高速通信が生かされているのが車載カメラで撮影した映像をリアルタイムで確認できる機能だ。同担当者は、「LTEを使わなければ、リアルタイムで車載カメラの映像をドライバーのスマートフォンに送ることはできない」と説明する。
自動運転するNSC-2015のベース車がEVのリーフであることにも意味がある。今回の自動運転と自動駐車の機能は、私有地の敷地内や駐車場内で利用することを想定している。このため、一定範囲内の低い速度で走行することになる。「EVは、一般的な自動変速機搭載のガソリンエンジン車よりも、低速かつ定速の走行を行いやすい。今回のように駐車場などの限定された場所で自動運転する機能は、EVならではのものになるのではないかと考えている」(同担当者)。
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