旅客機の近代史──大量輸送時代の幕開けからハイテク機登場まで:秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(4/4 ページ)
大型機の登場で空の長距離移動が一般化してから半世紀以上が経過した。ジェット化で大量輸送時代の幕を開けた1950年代以降と、ハイテク機が登場する1990年代から現在までの2つの時期に分けて、駆け足で歴史を振り返る。
空飛ぶホテルA380と次世代中型機787
そして時代は21世紀へ。まず世界の注目を集めたのが、エアバスが開発したオール2階建て機A380だ。「空飛ぶ豪華ホテル」という呼び名にふさわしいこの新時代の超大型機は現在、シンガポール航空、エミレーツ航空、ルフトハンザ、エールフランス航空、大韓航空、タイ国際航空、マレーシア航空などが世界の空で運航している。
そして2011年、ボーイングはこれまでの旅客機とはまったく発想の違う、機体の50%に炭素繊維複合材を使用した最新旅客機787を完成させた。日本でもANAとJALが積極的に活用している。一方、超大型機のA380に対抗するため、ボーイングは747-400を進化させた次世代ジャンボ747-8を開発、2012年5月からルフトハンザが国際長距離路線で導入を進めている。
新しい機種の開発は現在も活発に続いている。今後一番の注目は、2014年の商業運航開始に向けて現在テスト飛行が続いているエアバスの最新鋭機A350だろう。2013年10月にJALが初のエアバス機として同型機の購入を発表し、話題を集めた。時代の変化とともに、これからどんな旅客機が“空の主役”をつとめるようになるのか? しばらくは目が離せない。
著者プロフィール:秋本俊二
作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各メディアにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオのコメンテーターとしても活動。
著書に『ボーイング787まるごと解説』『ボーイング777機長まるごと体験』『みんなが知りたい旅客機の疑問50』『もっと知りたい旅客機の疑問50』『みんなが知りたい空港の疑問50』『エアバスA380まるごと解説』(以上ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)、『新いますぐ飛行機に乗りたくなる本』(NNA)など。
Blog『雲の上の書斎から』は多くの旅行ファン、航空ファンのほかエアライン関係者やマスコミ関係者にも支持を集めている。
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