車内Wi-Fiを搭載するアウディ「A3」は楽しいクルマか?:試乗インプレッション(3/3 ページ)
2013年秋から日本でも販売が始まったアウディA3。車内情報システムの機能を拡張し、Googleとの連携したナビゲーションや同時に8台までのデバイスを接続できるWi-Fi機能を備えている。
高性能でありながら極めて自然なドライブフィール
さて、肝心の走りのほうだが、走り出して真っ先に感じたのが「運転しやすい!」。先述の通り、着座位置が自然で前方のガラスエリアも広いので、前方視界が極めて良好、車体感覚もつかみやすい。また、実際の車体サイズも決して大きくないため、日本の道路事情でも余計な気をつかわずに走れる。
1.4リッターターボエンジンの最大出力は90キロワット(122馬力)/5000〜6000rpm、最大トルクは200ニュートンメートル/1400〜4000rpm。1400回転から最大トルクを発生させるとあるが、体感的には2000回転を超えたあたりからターボの効きを実感できる。急な上り勾配で加速しようとする際、2000回転以下で若干のもたつきを感じることもあったが、日常領域ではパワーにまったく不足は感じないだろうし、実際のところアクセルを一気にドンと踏み込めば十分な加速を引き出せる。
乗り心地も極めて良好だ。決してフワフワしているわけではなく、全体的には「引き締まった足回り」という印象。だが、路面からの振動を十分に吸収し、かつ角を丸めてくれるので、よほどのことがない限りドライバーに不快なハーシュネスが伝わってくることはなさそうだ。
それ以上に印象に残ったのが室内の静かさだ。実は運転中、エアコンの音がちょっと気になったのだが、これは決してA3のエアコンがうるさいというわけではなくて、エアコンの音が目立ってしまうほどキャビン内が静かだったということ。もちろん、ある程度のノイズはキャビン内に入ってくるので、高級サルーン並みの静かさというわけにはいかないのだが、このクラスのコンパクトカーとしては相当静かな部類に入ると感じた。
ちなみに1.8 TFSI quattroのほうは、最大出力132キロワット(180馬力)//4500〜6200rpm、最大トルク280ニュートンメートル/1350〜4500rpmのエンジンを搭載し、1.4 TFSIより明らかにパワフルさを感じる。日常使いには十分以上のパワーだ。
また、外観上の違いはさほどないのだが、1.4 TFSIのタイヤサイズが16インチなのに対して、1.8 TFSI quattroは17インチアルミホイールを装着し、かつスポーツサスペンションにより車高が15ミリ低くなっているので、2台を並べて見るとよりスポーティな印象を受ける。
なお、走りの面で最も好印象だったのがブレーキだ。非常にしっかり効いてくれるにもかかわらず、ブレーキペダルのタッチが極めて自然なのだ。いくら制動力に優れていたとしても、ちょっとペダルを踏んだだけで「ドン」とブレーキがかかるようだと、一般ドライバーにはちょっと扱いにくいだろう。このあたりのチューニングが絶妙だ。とにかく「運転のしやすさ」を強く感じたA3 スポーツバックだったが、そのような印象を受けた大きな理由の1つがブレーキだったことは間違いないと思う。
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