シートと機内食に見るファーストクラスのニュートレンド:秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(3/3 ページ)
キャビン最前方の仕切られた空間に、ごく限られた数だけ設置されているファーストクラス。閉ざされたカーテンの向こう側には、どんな世界が広がっているのか? 豪華シートと機内食から、この最上級クラスのニュートレンドを探ってみる。
最上級のマンツーマン対応
シートや機内食、ラウンジなどの“ハード面”だけでは、もちろんファーストクラスのサービスは語れない。特別の訓練を受けた客室乗務員による最上級のもてなしが加わって、はじめてこのクラスのサービスが完結する。
「ビジネスクラスとファーストクラスでは、サービスの発想からして違います」と話していたのは、JALでファーストクラスを担当する現役CAの秋澤麻由さんだ。「余裕をもってサービスに当たれるファーストクラスに比べると、ビジネスクラスのキャビンはやはり“時間とのたたかい”という面があります。手間のかかるミールサービスを、限られた人数で時間内にすべて終わらせなければなりませんから」
ボーイング777-300ERのキャビンを例にとると、ビジネスクラスでは1人のクルーが最大で18人の乗客を担当。それに対して、ファストクラスでは最大9人の乗客を3人のクルーで受け持つ。「ファーストクラスは満席でないケースもあり、よりマンツーマンに近いサービスになる」と秋澤さんは言う。
サービス向上に向けたJALのクルーたち取り組みについては、この連載で報告したインタビュー記事「JALの現役CAに聞く──ファーストクラスのサービスと“和”のもてなし」を参照してほしい。
著者プロフィール:秋本俊二
作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各メディアにリポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオのコメンテーターとしても活動。
著書に『ボーイング787まるごと解説』『ボーイング777機長まるごと体験』『みんなが知りたい旅客機の疑問50』『もっと知りたい旅客機の疑問50』『みんなが知りたい空港の疑問50』『エアバスA380まるごと解説』(以上ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)、『新いますぐ飛行機に乗りたくなる本』(NNA)など。
Blog『雲の上の書斎から』は多くの旅行ファン、航空ファンのほかエアライン関係者やマスコミ関係者にも支持を集めている。
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