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“Web2.0バブル”はもうすぐはじける?

» 2007年08月08日 14時28分 公開
[Jim Rapoza,eWEEK]
eWEEK

 この数カ月、新たなテクノロジーバブルの崩壊――この場合、Web2.0バブル――が近づいていると警鐘を鳴らすテクノロジーアナリストや評論家が増えている。もし、わたしがそうした評論家に異論を唱えると思っているのなら、考え直した方がいい。もちろん、新たなバブル崩壊は近づいている。

 こうしたバブルにかかわる話を聞いて、わたしは古典的なバブル崩壊サイクルを考えた。過去のテクノロジーバブルを分析すると、「純然たるテクノロジー」から「純然たるマーケティング」へという常に同じ展開が見えてくる。この展開に目を向けると、バブルが身のためにならないほど肥大化しすぎて崩壊するのが、いつなのかが分かるかもしれない。

 では、テクノロジーバブルはどうやって始まるのだろうか? バブルの最初は、すべてがテクノロジーだ。この時点では、発明家が参加してくる。ここで参加してくるのは、電子商取引、ソーシャルネットワーキング、PCソフトなど新しい画期的なテクノロジーのアイデアを持っている人たちだ。この段階では、参加者は技術的に優れているが、マーケティングスキルを持たない。彼らの画期的技術に注目しているのは、同じように技術的な関心を持つ人々だけだ。

 次の段階では、革新的な起業家が参加してくる。この手の人たちは技術を理解している上に、実際に人々が欲しくなる製品を作るマーケティングスキルと販売手腕も持っている。新技術の話題を作り出すこともできる。

 これはテクノロジーとマーケティングの均衡点に至る。テクノロジーバブルにおいて、最も重要で優れていて、最も長続きするソリューションが作られる――Microsoftであろうと、Amazonであろうと、Googleであろうと、eBayであろうと――段階でもある。

 残念ながらこれは、テクノロジーではなくもっぱらマーケティングに携わる人々が一口乗ろうと決心する段階でもある。そういう「起業家」がどういう人なのか分かるだろう。がまの油売りだ。うまいことを言って、自分たちが一番クールで重要な新技術を持っているのだと、ベンチャーキャピタリストからマスコミ、一般大衆に至るまで信じ込ませてしまえる人たちだ。

 では、彼らの製品が何もできなかったら、実際にもうけを出すすべがなかったら、既にある製品の劣化版だったらどうなるだろう? 彼らは自分と製品の売り込みに長けているため、空騒ぎを作り出すことができる。

 だが、彼らがばらまいているのはホラ話ばかりだ。ホラが膨らみすぎたらバブルがどうなるのか、分かるだろう。

 はじけてしまう。

 そうしてバブルははじけ、その原因を作った恥ずべき宣伝屋をつぶす(もっとも、たいていはもっといい目に合うべきまともな企業も幾つかつぶれてしまうが)。

 だが、バブル崩壊は必ずしも悪いことだとは限らない。テクノロジーに関して言えば、浄化作用があるかもしれない。すべてのホラがなくなれば、テクノロジーはその本来するべきことに落ち着けるだろう。結局、ドットコムバブル崩壊のダメージにもかかわらず、電子商取引は好調にやっている。

 だからバブルサイクルに注目して、いつホラを避ければいいかを知っておくことだ。そして覚えておいてほしい。今もどこかに、新しいテクノロジーバブルの最初の泡を吹き出そうとしている、技術力があってマーケティングに弱い発明家がいるということを。

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