“情報を読まない”情報収集術――「未読RSS恐怖症」対策デジタルワークスタイルの視点

RSSリーダーの未読記事が膨れ上がり、RSSリーダーを開くのがだんだん嫌になってくるという“恐ろしい”病気への対策とは――。

» 2006年07月04日 13時55分 公開
[徳力基彦,ITmedia]

 ブログ時代の情報収集ツールとして、いまや必需品のひとつになった印象もあるRSSリーダー。皆さんはすでにRSSリーダーを利用されているでしょうか。

 これまでのWebサーフィンは、基本的にWebサイトが更新されているだろうという推測を元にそれぞれのサイトを見てまわるというのが常識でしたが、RSSリーダーを使えば、そのサイトが更新されたかどうかが分かるだけでなく、件名や概要も取得することができます。うまく使えば情報収集力を大幅に増やすことができる、非常に有効なツールだといえるでしょう。

 ただ、RSSリーダーに慣れてくると、陥りがちな病気があるんです。

 その名も「未読RSS恐怖症」です。RSSリーダーに調子に乗って大量のブログやニュースサイトを登録したことで、毎日更新通知される大量の記事に処理が追いつかなくなり、徐々にRSSリーダーの未読記事が膨れ上がり、だんだんRSSリーダーを開くのが嫌になってくるという恐ろしい(?)病気です。

 そこで今回は、そんな「未読RSS恐怖症」を克服するためのポイントをご紹介します。

未読RSS恐怖症克服のための3つのポイント

  1. そもそも未読を全部読む必要なんてない
  2. 飛ばし読みできるRSSリーダーを使う
  3. 見落としたものが戻ってくるフィルタを作る

未読を全部読む必要なんて、そもそもない

 未読RSS恐怖症に陥りがちな人の、最大の勘違いは「未読は全部読まなければいけない」という固定観念です。特にメーラー型のRSSリーダーを使っていると、ブログやニュースのRSSフィードを、メールと同様基本的に全部読むのが普通という意識になりがちなようです。

 でも、返事が必須となる場合があるメールと異なり、ブログやニュースを読むかどうかの主導権は皆さんにあります。大量の未読がたまり始めたら、黙ってRSSリーダーのメニューから「すべてを既読」を選択してしまいましょう。

 めったに読まないブログは購読を解除してしまえばいいですし、RSSリーダーの中で未読がたまったら「すべてを既読」にするカテゴリと、できるだけ全部読むようにするカテゴリを分けておくのも良いと思います(そういう事前準備ができる人は、未読が溜まらないという説もありますが)。

飛ばし読みできるRSSリーダーを使う。

 もちろん、そうは言ってもせっかくこれだけ大量の情報を無料で入手できるようになったわけですから、アンテナを広げる努力を怠るのは勿体無いというのも事実です。そこで、RSSリーダーの使い方を改めて見直してみましょう。

 RSSリーダーの登場によって、私たちはブログやニュースサイトの記事をひとつひとつ入手することが可能になりました。そのため、RSSリーダーでひとつひとつ丁寧に記事のタイトルを目で追っている人が多いようです。

 でも、ちょっと待ってください。

 ニュースサイトをWebサーフィンしていた時代に、ひとつひとつ記事をクリックして中を見ていましたか? 一覧をずらっと眺めて興味のある記事だけを読んでいたはずです。紙の新聞や雑誌だって、全部のページを端から端まで読むことなんてほとんどないはずで、興味があるページしか読みませんよね。

 RSSリーダーでも同じように処理するようにしてみましょう。

 例えば、goo RSSリーダーのクライアント型RSSリーダーであれば、件名を一覧でざっと見て興味のあるものだけ選択し、後はまとめて既読処理をしてしまえば良いと思います。また、Webサービス型のRSSリーダーでも、最近はショートカットキーで、次々にタイトルをめくっていくことができるものが増えています。

goo RSSリーダー

 例えばlivedoor Readerでは、記事を先読みしてくれますから、SキーやENTERキーを連打してタイトルを高速でめくり、興味のあるタイトルの記事があれば戻って読む、という比較的新聞に近い読み方が可能です。是非試してみてください。

livedoor Reader

見落としたものが戻ってくるフィルタを作る。「師匠」ブログを探せ!

 未読RSS恐怖症なんて言葉を使いましたが、そもそも未読RSS自体をなんとも思わなければ、誰でも「すべてを既読」処理をいつも使えるはずです。

 ただ、それができないのは「ひょっとしたら、この未読の中にすごい面白い記事、役に立つ情報が混じっているかもしれない」という感覚があるからでしょう。人間は、いざ何かを捨てるときにはやはり躊躇してしまうものです。

 そこで、この感覚を和らげるために、情報のフィルタを複数作っておくことをお勧めします。

 例えば、複数のニュースサイトの記事を全てチェックするのは結構な労力です。ですので、自分と同じ分野に興味を持っている人を「師匠」と見立て、その人をフィルタにしてみましょう。何人か師匠を見つけてその人のブログやブックマークをRSSリーダーに登録しておけば、その人たちが自分の代わりにニュースサイトやブログの中の役に立つ記事を紹介してくれるはずです。

 もちろんフィルタを個人に限る必要はありません。はてなブックマークのようなソーシャルブックマークの「最近の人気エントリー」の興味のあるカテゴリーのRSSを購読するという手もあります。

 そうすれば、自分が気づかなかったり見落とした情報が、後で話題になったときにそれらのフィルタを通じてまた自分に戻ってくるわけです。見落としたものが戻ってくる自信があれば、今の未読文書は安心して既読処理できますよね(もちろん、フィルタ経由の文書が未読の山になってしまったら同じことですが)。

 インターネットのおかげで私たちは大量の情報を手軽に収集できるようになりました。

 ただ、残念ながら私たちが一生に処理できる情報量は、それほど大きくは変わらないというのが現実です。全ての情報を収集しようというのは素直に諦めつつ、上手くRSSリーダーを活用してインターネットやRSSのメリットを活用しましょう。

筆者プロフィール 徳力基彦(とくりき・もとひこ)

NTT、ITコンサルを経て、現在はアリエル・ネットワーク株式会社プロダクト・マネジメント室マネージャ。ビジネスパーソンの生産性向上のためのソフトウェアの企画・開発やコンサルティング業務に従事するほか、グループウェアやブログ、仕事術などに関する執筆・講演活動を行っている。ブログは「ワークスタイル・メモ


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