仕事を先送りしない4つめのポイント。それは仕事のすすみ具合に点を付けて「ものさし」として「見える化」してあげることです。
ステップ4の4つめのポイントは、結果を即時的で目に見えるようにすることです。だいたい、すぐに結果が見えないと、やる気はなくなります。そのため、得たい結果そのものを「ものさし」にして、目盛りを上げるように行動します。そのため、自分なりのものさしや目盛りを作ってほしいのです。
例えば、原稿ならポイント制にする方法があります。全部書けて10点満点、1段落ができたら1点、という目盛りを設定します。すると「今、3.5点できてるな」ということがわかる。とかく原稿は「書けたらでき上がり、書けてないとダメ」となってしまいがちですが、自分なりのものさしを作って、途中でも結果や達成度が分かるようにしてほしいのです。
平本 房野さんのリストにある「スペックデータ表執筆」ですが、十分やりたいのが10だとして、現時点で何点くらいできてますか?
房野 5くらいです。
平本 では、6にするには何ができますか?
房野 「サイズ」と「重さ」を埋めていければ、6になります。
平本 じゃあ、サイズと重さを埋めるために何ができますか?
房野 資料を揃える。
平本 どんな資料ですか?
房野 発表会などでもらった資料です。それが今、どこかに行ってしまっているのが、一番ダメなことだと……
平本 じゃあ、どこかに行ってしまった資料を集めた時点で、5点が何点くらい上がりますか? 1点上がらなくてもいいですよ。
房野 それなら5.8くらいになります。
平本 資料を揃えるだけで、そんなに上がるんですね?
房野 あとは表に入力していくだけなので。入力に時間がかかる、ということが、できない理由でもあるんですが、すぐに資料を取り出せて確認できれば良い、ということでもあるんです。すぐ確認したいので、自分だけの表が欲しいんです。
平本 じゃあ、スペック表を作ることを目標にしないで、集めることを目標にしてほしいんです。だったら、すぐできそうですね。
房野 はい。
平本 これはステップ1の「スモールステップ」とも関連してきますね。では、斎藤さん。今、取り掛かっている原稿はありますか?
斎藤 あります。
平本 それは完成を10だとして、今どれくらいですか?
斎藤 3くらいです。
平本 じゃあ、何をすると4くらいになりますか?
斎藤 書き始められれば。
平本 書き始めるとしたら、最初の1ワードは何から始めますか? 今すぐ答えてください、と言われたら。
斎藤 それなら、原稿の中身ではなくて、まず線を引きます(苦笑)。タイトルと本文の区切りの線をひいて、最後に自分の署名を入れて……。まずそこから始めます。
平本 線と署名を入れたら、何点くらい上がりますか?
斎藤 そこまでいければ、というか、そのまま続けられる状況にすれば1点上がると思います。
平本 線と署名だけで終わったら何点?
斎藤 0.1点くらいです(笑)
平本 そこから始めてほしいんです。
斎藤 はい、とりあえず、そこから。
平本 モノを書く仕事は、全体がぼやっとしていてスケールがわかりにいくい分、できるだけ目盛りを付けてあげてほしいんです。実は、線と署名でも、大事なひとつの仕事なんですよ。
見えにくいといえば、ダイエットも結果が見えにくいものです。今日ダイエットを始めて明日痩せる、なんてものではありませんから。でも、今は50グラムを計れる体重計もあって、あれは、結構変わるんですよ。すると、励みになる。こんな風に、すごく小さい目盛りにして見えるようにすると、達成感が得られます。
ピークパフォーマンス 代表取締役
平本相武(ひらもと あきお)
1965年神戸生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(専門は臨床心理)。アドラースクール・オブ・プロフェッショナルサイコロジー(シカゴ/米国)カウンセリング心理学修士課程修了。人の中に眠っている潜在能力を短時間で最大限に引き出す独自の方法論を平本メソッドとして体系化。人生を大きく変えるインパクトを持つとして、アスリート、アーチスト、エグゼクティブ、ビジネスパーソン、学生など幅広い層から圧倒的な支持を集めている。最新著書は「成功するのに目標はいらない!」。コミュニケーションやピークパフォーマンスに関するセミナーはこちらから。
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