タイマーを使って「Just do it!」平本メソッド・ピークパフォーマンス実践シリーズ(3)

先延ばし撃退法は、ここから実際に行動するステップ3に入る。携帯電話にも搭載されている身近な道具・タイマーを使った、時間管理のテクニックなどを紹介しよう。

» 2006年07月18日 14時02分 公開
[平本相武(構成:房野麻子),ITmedia]

 ステップ3では、具体的な行動に入ります。それも、機械的に時間を決めて、即実行するようにします。思いたったら、即実行、「Just do it!(ただ、やれ!)」です。また、完璧主義を脱却するステップでもあります。

 ステップ1からステップ3に直接進まず、ステップ2があるのには理由があります。「ただ、やれ」といわれて、それがしなければいけないことだと分かっていても、行動することと苦痛が結びついている場合には行動できません。ですので、ステップ2で、行動しないとどんなにつらくて、行動するとどんなに良いかを認識すると、ステップ3の「Just do it!」にスムーズに進むことができます。

タイマーを使って時間を管理する

 “機械的に時間を決めて、即実行”ということで、週に○回、○時間の時間を取る、というような方法を取りますが、その際にはタイマーを使うといいでしょう。タイマーがピピピと鳴るまでの30分は○○をする、というように使います。

 例えば、「3時15分から30分は掃除をする」と決めた場合、3時15分にアラームを設定しておきます。3時15分になってアラームが鳴ったら、ほかの作業をしていても止めて、タイマーを30分セットして掃除を始めます。30分経ってピピピとタイマーが鳴ったとき、まだ掃除を続けたかったらそのまま続けてもいいし、タイマーの合図で掃除を止めて、前にやっていた作業を再開してもいいのです。

 ただ、3時15分にアラームが鳴ったときに、「今、いいところだから、もうちょっと待って」というのはダメです。絶対、掃除を始めなければいけません。なにがあってもやる、親が死ぬ以外は絶対やる、というくらいの心構えでやります。もちろん、ある程度やりやすい状態を作っておいてくださいね。調子良く進んでしまって途中でさえぎるとマズイ、と思うものは、直前にやらずに避けておきます。でも、それ以外は、時間がきたらやる。とにかく絶対やる。

 融通がきくものだと、つい空いた時間にやろうとするのですが、それができるのはよっぽど暇な人であって、忙しい人は空いた時間なんてありません。もしくは、空いた時間はダラけてしまいます。ですから、その時刻になったら、必ず行動するようにします。

スケジュールに“自分へのアポ”を入れる

 確実に行動するために、この日の何時何分から○○をする、とスケジュールに入れておくのもいいでしょう。これは、ほかの予定と同じくらい重要なスケジュールなので、必ず時間を取って行います。

 例えば、午前11時まで打ち合わせ、12時から昼休み、午後からもアポがあるという場合、11時から12時の間は“自分にアポ”を入れてしまうのです。それも、打ち合わせが11時までなら、11時10分から12時まで、という入れ方をします。すると、50分間は自分へのアポなのです。「この時間に、コレとコレをやる」と決める。そうすると、11時まで打ち合わせ、10分間休み、11時10分からは「アポの時間だ」と思って行動できます。

 ただし、ステップ3の方法は、ステップ1と2を経て、本当にやりたいことだと分かっていないと疲れてしまいます。ステップ1からすぐステップ3に進んでしまうと、「(やるって)書いちゃったしなあ……」「やんなきゃなあ」「11時10分だしなあ……」という嫌々な気分になってしまうのです。

 だから、ステップ1で本当に必要なことかどうか徹底的にチェックし、不必要なことだったら削除する。ステップ2で、ネガティブな条件付けがないか、確認して排除しておくことが必要です。そうすることで、このステップ3で、前向きに進んで行動することができるのです。

タイマー活用術

 タイマー活用法の例として、私の使い方を紹介しましょう。私は、しっかり休むと決めたときはちゃんと時間をかけて休みますが、打ち合わせと打ち合わせの間に時間があったとしたら、時間を計算して休みます。

 例えば、13時に待ち合わせがある場合は、12時45分になったら準備を始める。今は12時23分。そうすると、準備を始めるまでに、22分くらい時間があるわけです。そこで、携帯電話のタイマーを12時45分にセットして、それまでの時間は、ダラ〜っとリラックスします。本を読もうが、テレビを見ようがかまわない。一切考えない時間を作ります。

 別の用事があって、もうちょっと準備に時間をかけたい場合は、12時30分から準備しようと決めてタイマーをかけます。そうしたら、12時30分までの7分間はダラ〜とできる。タイマーがピピピと鳴ったら、最初の準備を始めます。そのとき、今度は12時45分にタイマーをかけておく。45分にタイマーが鳴ったら、今度は第2弾の準備を始めます。このように、タイマーを活用すると、そのときすべきことに没頭していられます。

 また、タイマーは部下の指導に活用することもできます。部下と話をする時間がなかなか取れないという場合に、「なんとか君のために時間を割きたい。30分だけなんだけど、いいかな?」といって、時間をタイマーできっちり計りながら話をするのです。

 「タイマーをセットして、30分経ったら自分の仕事に戻るけど、それでもいいかな」と最初からいっておく。30分経ってタイマーが鳴ったら終わり、というやり方です。最初は、「時間になったら終わっちゃうのかよ、冷たいな」と思われるでしょう。でも、そういう人として思ってもらうのです。

 A君のために時間を割いてあげようと思いながら、「でもA君と話すと時間がかかる」と分かっていると、A君を遠ざけてしまい、結局、話ができない、ということが往々にしてあるものです。

 A君の立場で考えてみると、「君のために時間を取るよ」と言って、一度に3時間も話を聞いてくれるけれど、それっきり。会っても「ちょっとごめん、また時間があるときね」と言って避けられ、やっと話ができたときは前回から何カ月も経っていた、ということになる。だったら、1回の時間は短いけれど、毎週時間を取ってくれる方がA君は喜ぶでしょう。

 タイマーで機械的に時間を計ることは、最初は慣れないかもしれませんが、一度にまとめて時間を取って、でもなんだか分からないまま終わってしまうよりは、30分という短い時間でも、取れるときに必ず会って話をするほうが確実です。


ks_hiramotobook.gif

ピークパフォーマンス 代表取締役

平本相武(ひらもと あきお)

 1965年神戸生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(専門は臨床心理)。アドラースクール・オブ・プロフェッショナルサイコロジー(シカゴ/米国)カウンセリング心理学修士課程修了。人の中に眠っている潜在能力を短時間で最大限に引き出す独自の方法論を平本メソッドとして体系化。人生を大きく変えるインパクトを持つとして、アスリート、アーチスト、エグゼクティブ、ビジネスパーソン、学生など幅広い層から圧倒的な支持を集めている。最新著書は「成功するのに目標はいらない!」。コミュニケーションやピークパフォーマンスに関するセミナーはこちらから。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ