インタビュー
» 2006年10月17日 19時40分 UPDATE

達人の仕事術:半クローズドの「SNS型」人脈術――加藤恭子さん

知り合いをたどった「SNS型」の人間関係から情報を手に入れる――。IT企業のマーケティングやPRを仕事とする加藤恭子さんの働き方とは。

[吉田有子,ITmedia]

 加藤さんは、雑誌の記者、IT企業のマーケティング・PRマネジャーを務めた後、現在は、IT系企業のマーケティングやPRの支援およびコンサルティングを行う「ビーコミュニケーション」の代表を務めている。

「クローズド」な場を維持する

yy_kato01.jpg 加藤恭子さん

 加藤さんは、有識者とのクローズドな情報交換の場として、メーリングリスト(ML)を5年以上続けている。入会は紹介制にし、人数を35人程度に絞って、貢献しない人は抜けてもらっているという。「Yahoo!グループ」を使っているので、出先からでもMLの過去ログを見ることができる。「仕事で必要な情報があのMLに出ていたな」と検索することも多い。

 リアルな集まりも大事だ。自分で懇親会を主催したり、知り合いが運営していて、きちんとした人が集まっていることが分かっているIT業界関連の情報交換会に出席したりする。以前、よく知らない交流会に友人に誘われて出席したら、広告や勧誘ばかりでがっかりしたという。

 「情報交換会」のようなかっちりした会合以外にも、少人数で気の置けない仲間と情報交換もかねて食事会をしたり、知りあいのつてでプライベートなパーティに出席したりもする。出席者はIT業界の人ばかりということも少なくない。

 「IT業界は狭いですし、そのような場での情報収集が仕事に役立つことがあります。友人で、こういう場で新しい仕事が決まったという人もいます。自分の知り合いの知り合いであれば気が合いやすく、仕事もフィーリングの合う人とする方がうまくいくのではないでしょうか。でも、もっと多くの集まりに顔を出したいという気持ちもあります。『この人の意見は参考になるな』と思えた人とは継続的にコミュニケーションしたいですね」


中小企業では知られていない「PRの常識」

yy_kato03.jpg 仕事場の1つである、友人と共同で借りているオフィスの加藤さんの席。飼い犬を連れてくる人もいるなど、自由な雰囲気だ

 加藤さんの顧客となる中小企業のなかには、大企業のように広報専属スタッフがいなかったり、ノウハウを持っていないところも少なくない。

 例えば「プレスリリース」とは何か知らない人、知っていても「製品のことはすべて会社のWebサイトに載せているので、必要なら記者が見に来るのだから必要ない」と考えている人もいるという。

 プレスリリースを発行しているとしても、情報を盛り込みすぎて長すぎたり、逆にそっけないほど短すぎたり、専門用語が多すぎて難解だったりなど色々な問題点があることも。加藤さんは元記者の経験を生かして、読みやすく注意を引くプレスリリースを書くようにアドバイスするわけだ。

 とはいえ、PRがうまくいって記事の掲載が増えても、売り上げ増につながるとは限らない。

 「PRとマーケティングを一体のものとして考えています。顧客には最初に『何をしたいのか?』をしっかり聞いて、それに応じてやり方を考えていきます」

 加藤さんの顧客となる中小企業もしくは中堅、準大手企業にとっては「PRによって名前が知られる」だけではもの足りず、見込み顧客を多く獲得することが重要だという。だから、製品を紹介するためのセミナーや企業のWebサイトにも踏み込んでアドバイスすることもある。

 「自社製品を説明するために、顧客向けとマスコミ向けのセミナーを開く場合、マスコミ向けのセミナーを先に行わなければいけません。まずマスコミ向けの発表やセミナーをし、記事が掲載されると、それを見て顧客も興味を持つからです。これを逆にしてしまうと、顧客を集めるのに苦労しますし、マスコミも『もう顧客に紹介したのだから、新しい情報ではなく、ニュース性がない』と判断して集まってくれなかったりします。こういったことは大企業なら常識なのですが、中小企業にはなかなか知られていません」


携帯電話のテキストメモ機能が便利

yy_kato04.jpg 携帯電話のメモ機能を便利に使っている

 加藤さんは現在、自宅、友人と共同で借りているオフィス、顧客のオフィスという3カ所で仕事をしている。しかし、ノートPCやPDAは持ち歩かずに、USBメモリに必要なデータを入れて、それぞれの場所にあるPCを使っている。

 スケジュールやToDo管理には、Webベースなのでどこからでも使える「Yahoo!カレンダー」を使っているほか、ToDoを付箋に書くこともあるし、手帳も使う。

 重宝しているのは、携帯電話のテキストメモ機能だ。電車の中などで思いついたことがあるとき、筆記具がカバンから出てこなくても、携帯なら出せるのでメモできる。

 記者発表のときなどに撮影して記録を残す必要があるので、デジタルカメラも仕事に必要だ。iPod nanoには聴くと元気になれるお気に入りの曲が入っているほか、現在勉強している中国語のポッドキャストが入っている。


yy_kato02.jpg 加藤さんの仕事道具。手帳に名刺入れ、携帯、付箋とペン、デジタルカメラ、iPod nano

興味のあることを発信していれば、人が教えてくれる

 加藤さんは読者約600人の無料メールマガジン「B-zine」を配信している。主な内容はIT業界のマーケティングや英語学習、キャリアについて。加藤さん1人が執筆するのではなく、外部の人に依頼して寄稿してもらったりしている。

 また、ITmediaのオルタナティブ・ブログにも執筆している。

 「いやなことがあったら、ブログのネタができたと思うことにしています(笑) オルタナティブ・ブログのコメントがきっかけで新しくやりとりが始まった人もいるんですよ」

 ブログやメルマガで情報発信する加藤さんだが、定期的に読んでいるブログは少なく、RSSリーダーも使わないという。

 「普段は『情報収集のセンスがいいな』と思った少数の友人のブログだけを読んでいます。調べたい事柄が出てきたら、そのときにGoogle検索などで集中的に調べます」

 mixiも使う。加藤さんのマイミクは約100人だという。

 「mixiの日記は『友人まで公開』として、メモ代わりと仕事関係者との連絡に使っています。mixiで呼びかけてマーケティングの勉強会を開いたことがあるのですが、すぐに協力者が現れて場所を提供してくれたり、思っていたよりもスムーズに運営できてよかったです。mixiを通じてインターンシップの学生を募集したこともありますが、これはなかなかうまくいきませんでした。mixiを使って人材募集をしていた知人はうまくいったそうなので、私のやり方が悪かったのかもしれません」

 加藤さんは社会人大学院にも通っている。専攻は社会心理学で、ブログやネット上のコミュニケーションについて研究している。「社長ブログについて」「どんなときにトラックバックを送るか?」「知り合いと知り合いでない人のブログを読むこと」などを調査しているという。「社会心理学はビジネスに役立ちますし、ここでまた人脈が豊かになりました」と満足そうだ。

 加藤さんは、SNSが普及する以前から、人を大事にし、知り合いの知り合い……という形で「SNS的」に交流を広げてきたと言えるだろう。「日頃から『私がこれに興味があります』と言っておくと、周りの人が教えてくれるものですよ。これが私の最大の情報収集法ですね」

プロフィール
お名前 加藤恭子(かとう・きょうこ)
経歴 アスキー、ソフトバンクパブリッシングでの記者を経て、ナスダック上場IT企業のマーケティング・PRマネジャーを歴任。現在は、その経験を活かし、ITベンチャー・ハイテク企業のマーケティングやPRの支援およびコンサルテーションを行う「ビーコミュニケーション」の代表として活動。
PC Dell Inspiron 5100
携帯電話/PDA(データ通信カードを含む) D902i
デジタルカメラ IXY Digital55
ブラウザ Internet Explorer
収集ツール(RSSリーダーなど) -
メールクライアント Outlook Express
インスタントメッセンジャー Windows Live Messenger、Google Talk、Skype
ファイル整理ツール(デスクトップ検索を含む) -
バックアップツール バッファローHD HU2に標準でついているもの
検索サイト Google、たまにアクセラナビ、テクノラティ、Yahoo! Japan
Webメール Nifty、Gmail
ブログ ITmediaオルタナティブ・ブログ、ココログ
SNS mixi、Orkut、GREE、Yahoo! Days(メインはmixi)
ソーシャルブックマーキング -
Wiki -
影響を受けた人/本/Webサイト 特にこの有名人というのはなく周りの人から多く影響されている。本、Webサイトも、影響を受けたものはたくさんあると思うが特にあげたいものは思いつかない。
座右の銘 Win-Win
手帳/ノート 何でも。猫の表紙のノートをよく買います。あとは無印良品など
ペン いただきものの水性ボールペン。替え芯を買って使い続けています
その他小物(ICレコーダ、ポストイットなど) 蛍光色で目立つの付箋を愛用、iPod nano、USBメモリ

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