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» 2006年10月20日 18時42分 UPDATE

シゴトハック研究所:「先送り繰り返し症候群」根絶法【解決編】

「今日やらなくても大丈夫──」。分かっていてもつい先送りを繰り返してしまうあなた。どんな背景があって、どうしたら先送りを根絶できるのでしょうか。

[大橋悦夫,ITmedia]

今回の課題:分かっていてもつい先送りを繰り返してしまう、なかなか手につけられない

 仕事をうまく攻略できるようになる。


コツ:毎日「昨日よりもほんのわずかでも仕事が進んだ状態」を作る

 【問題編】では、よく分からない仕事はつい先送りをしてしまうこと、そしてそれが常習化しがちなことについて取り上げました。そこで今回は、「わかっちゃいるのに、つい繰り返してしまう先送りをいかに阻止するか」について考えてみます。

 先送りという判断を下してしまう背景には以下のような要因があると考えられます。

  1. 今日やらなくても大丈夫(最終的な締め切りまでにはまだ時間がある)
  2. 他にも急いでいる仕事がたくさんある
  3. 昨日も同じ理由で先送りした

 これらは、先送りをする上では打ってつけの言い訳となります。言うまでもなくこれらは「苦しみの先送り」でもあります。いつしか締め切りが迫ってきて、どんなにがんばろうが、徹夜をしようが、到底追いつかないほどの苦境に陥ることになります。

 もちろん、そうなることは薄々気づいてはいたはずです。でも、あえて見えないようにフタをしていたわけです。人間は毎日同じことを繰り返すことで、慣れが生まれ、徐々に判断の負荷が下がっていきます。最初は罪悪感やうしろめたさを感じていた先送りも、度重なると次第にその感覚が薄れていき、最終的には麻痺してしまいます。

 ここには「オオカミ少年」と同じ構造が隠れています。最初は「やらなくては!」と思っていたタスクも、連日のように先送りが繰り返されることによって、そのタスクが持つ「やらなくては!」というパワーが減衰していくのです。その結果、「どうせ明日もやらないんだろうなぁ」という確信犯的な先送りをするようになってしまいます。

 このような「先送り繰り返し症候群」を根絶するには、先送りに慣れないようにする必要があります。ポイントは以下の2つです。

  1. 名前を変える
  2. アプローチを変える

名前を変える

 毎日目にしているものは次第に視界から埋もれていきます。逆に普段と違う部分があれば自然とそこに目が行きます。例えば、通勤経路に見慣れない店がオープンしていれば「お?」と気づくはずです。

 同様に、タスクリストに毎日のように同じタスクが並んでいると、それは徐々に背景に溶け込んでいってしまいます。そこで、名前を変えることで改めて自分の注意を引くようにします。

 例えば、「A社向けの提案資料作成」であれば「A社の斎藤さんに提案する資料を作る」といった形で、より具体的に記述するようにします。この例では単に「A社向け」とするよりも、普段から付き合いのある「斎藤さん」という具体的な名前を出すことで、このタスクを見た時の自分の反応が変わります。

 あるいは、「A社向け提案資料作成/斎藤さんの要望を具現化させる」のように、補足説明を付けておく方法もあります。こうすることで、そのタスクを見た時に、具体的に何をすればいいかがパッと分かるようになりますし、先送りをする際にも、この部分をその時の状況や実態に即して書き換えることで、「名前を変える」効果も得られます。

 まとめるなら、タスクは具体的な言葉でビジュアルが浮かぶように書くことです。いくつか具体例を挙げておきます。

  • A社の見積書修正/変更点を箇条書きにまとめておく
  • A社・斎藤さんに電話/見積書の変更点について説明する
  • B社・栗田さんにメール/今後は午前中に受注確認メールを入れるようにする旨
  • C社Webサイト提案書作成/画面イメージ3枚+補足説明1枚でまとめる

アプローチを変える

 前回ご紹介した「小さなゴール」に分割するメソッドを活用し、先送りしがちなタスクに対するアプローチを変えるようにします。

 先送りしてしまう原因の多くは、以下のいずれかに当てはまるのではないでしょうか。

  1. そのタスクで何をすればいいのかよくわからない
  2. 自分の苦手とする内容のため、気が進まない

 こういったタスクほど、タスクの名前が抽象的なものになりがちです。さらに、早く片付けたい気持ちが強くなることから、時間の見積もりも過少になりがちで、ますますそのタスクから気持ちが離れていきます。

 ちなみに自分の得意なタスクについては過不足のない妥当な時間を見積もることができますから、見通しもつけやすく、従って「これなら確実に終わるからこっちから先にやろう」ということで優先的に着手することになり、かくして苦手なタスクはますます先送りにさらされることになるわけです。

 そこで、「終わらせる」ことよりも「少しでも進める」というアプローチに転換し、タスクを細かく分割していきます。

 明確な分割点が見いだせないタスクの場合は、予め上司や先輩など、見てもらう人を立てて、小刻みにチェックしてもらうようにします。例えば、「提案資料作成」というの場合は以下のようなステップに分けます。

  1. 作ろうとしている資料の概要を箇条書きでまとめる
  2. 箇条書きを上司や先輩にチェックしてもらい、必要ならアドバイスを仰ぐ
  3. 箇条書きの1項目を1タスクとしてタスクリストに書き出す
  4. リストに沿って1タスクずつ片付けていく
  5. 必要に応じて上司や先輩に途中経過をチェックしてもらう

 こうすることで、ゆっくりとではありますが確実にこのタスクを前に進めることができるようになります。つまり、昨日よりもほんのわずかでも仕事が進んだ状態を作って一日を終えるようにすればいいわけです。

 上記の例のように人を巻き込むことによって、一人で抱え込まないようにすることも先送りを防ぐ上では効果的でしょう。

筆者:大橋悦夫

仕事を楽しくする研究日誌「シゴタノ!」管理人。日々の仕事を楽しくするためのヒントやアイデアを毎日紹介するほか「言葉にこだわるエンジニア」をモットーに、Webサイト構築・運営、システム企画・開発、各種執筆・セミナーなど幅広く活動中。近著に『「手帳ブログ」のススメ』(翔泳社)がある。


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