「ワーク・ライフ・バランスに不満」日本が1位、少子化にも反映か

仕事と家庭の調和(ワーク・ライフ・バランス)に不満を持つ人の割合は世界24カ国のうちで日本が1番多く、その改善には消極的で自己完結的――こんな結果が明らかになった。

» 2007年01月16日 16時04分 公開
[吉田有子,ITmedia]

 仕事と家庭の調和(ワーク・ライフ・バランス)に不満を持つ人の割合は世界24カ国のうちで日本が1番多く、それに対する改善を試みたことがない人の割合は同じく2位、それが少子化にも反映している可能性が高い――調査により、こんな結果が明らかになった。

 スミスと同社が所属する世界30カ国の調査会社による組織、インターナショナル・リサーチ・インスティチューツ(iris)による世界24カ国1万4千人を対象にした「仕事と家庭の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する世界意識調査」の結果。

 調査結果によると、ワーク・ライフ・バランスについて「うまくとれている」という回答の割合が低かったり、「全く満足していない」という回答の割合が高い国は、日本、韓国、ギリシア、ポーランド、ドイツ、ロシア、スペインなど。これらは合計特殊出生率が1.3以下で少子化の傾向がある国々だ。そこで、仕事と家庭の調和と少子化には相関関係があるとスミスではみている。

ワーク・ライフ・バランスについて、「うまくとれている」との回答が少ない順(左)、「全く満足していない」の回答が多い順(中)、「改善を試みたことがない」の回答が多い順(右)

 日本の結果に着目すると、「ワーク・ライフ・バランスがうまくとれている」と感じている人の割合が15パーセントと24カ国中22番目と低く、「仕事と家庭の調和に全く満足していない」人の割合は16パーセントと24カ国中トップで、仕事と家庭の調和に不満を持つ人が多いことがわかる。

日本人はワーク・ライフ・バランスの改善にも消極的、自己完結的

 また、日本の特徴として、自ら環境改善を試みる人が少なく、不満を感じながらも行動に移せず我慢してしまう傾向がある。ワーク・ライフ・バランスの改善のために努力したかという設問では「改善を試みたことがない」人の割合はスペインの67パーセントに次ぐ66パーセントと2位。「改善を試み、その結果非常に改善した」と答えているのは4パーセントと24カ国中最低だ。

ワーク・ライフ・バランスを改善するために積極的に変えようと努力したか

 具体的な改善内容としては、日本は「仕事のスキルの改善」が51パーセントと半数以上を占め、「過重労働の拒否」は14パーセントと韓国と並んで24か国中最低、「転職」も18パーセントと低く、他人に迷惑をかけずに自分で努力する傾向がみられる。

ワーク・ライフ・バランス改善のために変えようとしたこと

 これに対してスミスは、政府による法律や企業の枠組み作りだけではなく、社会全体がワーク・ライフ・バランスの改善が必要だと受け入れられるようなPR活動やムード作りが必要。労働者も、会社や国だけに頼らず、自ら環境を改善しようといった意志を持つことも重要だとコメントしている。

 この調査は、2006年8月にirisのネットワークを通じて18歳以上の職業を持つ男女合計1万3812人に対して電話とインターネットによって行われた。調査対象国は、米国、日本、ドイツ、中国、イギリス、フランス、スペイン、カナダ、メキシコ、韓国、オーストリア、オランダ、ブラジル、ロシア、スイス、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、ポーランド、ギリシャ、ポルトガル、アイルランド、タイ、ルーマニアの24カ国。

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